モニタースピーカー論(APM8とAPM6・その5)
ソニーもテクニクスも、それ以前に、
型番にMonitorとつくスピーカーシステムは作ってこなかった。
それが1981年のほぼ同時期に、APM6 MonitorとSB-M1(Monitor 1)を出してきた。
APM6とSB-M1、このふたつのスピーカーシステムを比較してみると、
ソニーとテクニクスの違いが実に興味深い。
APM6はすでに書いているように2ウェイ。
SB-M1は4ウェイ。
どちらも平面振動板ユニットを全面的に採用しているが、
ソニーは角形に対してテクニクスは円型という違いがある。
どちらもアルミハニカム材を使用しているが、
ハニカムコアがソニーは均一であるのに対し、
テクニクスは扇のように、中心部はコアの密度が高く、外周にいくほどコアの間隔が広がっていく。
それから駆動方式というか構造も違っている。
こんなふうに、それぞれの違いを書いていくと、それだけでけっこうな長さになっていくので、
外観からうかがえることに絞って書いていく。
SB-M1はJBLの4343を意識しているところは、ソニーのAPM8と同じである。
4ウェイのバスレフ型で、エンクロージュアの外形寸法も、APM8とSB-M1ともに、4343とほぼ同じである。
しかもSB-M1はエンクロージュアの仕上げも4343をかなり意識している。
とはいえデザインの見事さでは4343のレベルには達していない。
SB-M1は4343を意識しているスピーカーであるから、エンクロージュアは一般的な形である。
ラウンドバッフルを採用したりしていない。
わりとのっぺりした印象のSB-M1だが、フロントバッフルの両端に把手がついている。
これがけっこう長い。
ウーファーからミッドバスまでのスパンとほぼ同じである。
これが視覚的アクセントになっているわけだが、
聴感上でもアクセントになっている。