真空管アンプの存在(その11)
アメリカから真空管アンプの新顔が登場しはじめた1979年ごろ、
日本のスピーカーには、平面化が流行しはじめていた。
Lo-Dは、従来のコーン型(振動板は金属)のくぼみに充填材をつめ表面をフラットにするとともに、
最上級機のHS10000では、フロントバッフルの寸法が、横90cm、縦180cmの大型エンクロージュアを採用し、
さらに壁に埋め込むことで、バッフル面積をさらに稼ぐよう指定されていた。
ソニー、テクニクス、パイオニアはアルミハニカムコアを振動板に採用。
ソニーは四角い振動板で、テクニクスはアルミハニカムを扇状に広げて円の振動板、
パイオニアは振動板の形状は四角だが、4ウェイを同軸構造とするなど、
一言で平面型といっても、各社のアプローチはずいぶん異っていた。
アメリカでも、似た状況のようで、
コンデンサー型フルレンジユニットに、サブウーファーを足したシステムが第1作のインフィニティは、
その後、ウォルッシュドライバーを採用したりするが、78年ごろ、独自のEMI型ユニットを開発。
エレクトロ・マグネティック・インダクション(EMI)型と名付けられた、このユニットは、
極薄のフィルムに薄膜状のボイスコイルを貼り合せたものを振動板にしている。
同じような構造のユニットはフォステクスから出ているし、
77年、テクニクスから出たリーフトゥイーターも、振動板にボイスコイルをエッチングしている。
リーフトゥイーターをリボントゥイーターの一種と混同されている方がおられるが、
リーフトゥイーターは振動板前面にあるディフューザーに見えるもの、これがないと動作しない。
古いところではマグネパンも存在していたし、KLHも屏風状のコンデンサー型スピーカーをつくっていた。
前述のアクースタットやビバリッジもあったし、カナダからはガスを封入することで
コンデンサー型スピーカーの弱点の解消をはかったデイトンライトも登場している。