40年目の4343(その6)
記事のタイトルが「名作4343を現代に甦らせる」ではなく、
「4343のユニットを現在に使う」とか「4343のユニットの現代的再構築」といった感じであれば、
何も書かなかった。
あくまでも「名作4343を現代に甦らせる」とあったからこそ、ここに書いている。
あれだけの数売れたスピーカーシステムだから、いまも所有されている人はけっこう多いし、
あのころ学生で買えなかった人が、中古の4343を手に入れていることも少なくない。
4343がいまもメインスピーカーである人、
メインスピーカーは別にあるけれども、4343が欲しかったから、という人、
いろいろな人がいる。
その人たちは、いまどういうふうに4343をみているのだろうか。
2016年には誕生40年に迎えるスピーカーシステムである。
いまもメインスピーカーとして使えるだけの実力をもつともいえるし、
細部を検討していくと、部分的にはどうしても……、と思えるところがないわけではない。
実際に行動にうつすかどうかは別として、
4343ユーザーなら、来年の4343誕生40周年を迎えるにあたって、
4343をどうしようか、ということを考えてみてはいかがだろうか。
徹底的にメンテナンスして、できるかぎりオリジナルの状態を保ったままで、これからも鳴らしていくのか。
オリジナルといっても、厳密な意味では発売当時の状態には戻せない。
コーン紙の製造工場も変っているし、工場が同じだとしても、
当時と同じ森林からパルプの材料となる木材を切り出しているわけではない。
細かくみていけばいくほど、1976年当時のオリジナルの状態に戻すことは、はっきりいえば不可能である。
オリジナル度に関しては、本人がどの程度で満足するか、でしかない。
ならば40年を機に手を加えてみる案はどうだろうか。
ステレオサウンドの記事のようにユニットだけを取り出して再利用して、
4343とはまったく別モノのスピーカーシステムに仕上げるのも考えられる。
私がここで書いていきたいのは、4343のアイデンティティを維持したまま、
どこまでやっていけるかである。