Date: 12月 15th, 2010
Cate: 欲する
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何を欲しているのか(その8)

いま現在市場にでまわっているヘッドフォン(イヤフォン)の数はどのくらいあるのだろうか。
オーディオがブームだといわれた1970年代のころよりも、ずっと多くの機種、
そしてヴァリエーションも豊富になっているように感じられる。

そんな状況をみていて思うのは、
アナログ全盛時代のカートリッジがヘッドフォンに変っていったのではないのか、ということ。
CDが登場するまでは、カートリッジを複数個もつのは、音に関心のある人ならば当り前のことだった。

1個のカートリッジしか所有したことがない、という人はおそらくいないと思う。
少ない人でも数個、多い人では何十個というカートリッジを持っている人もいた。
瀬川先生はヘッドシェルに取り付けて、
すぐに聴ける状態にあるものだけで80個をこえて所有されていた、と書かれている。

製造される国が違い、発電方式もさまざまな違いがあった、それぞれのカートリッジ。

まめな人ならば、レコードごとにカートリッジを交換していた人もいたときいている。
レコードのジャケット裏の片隅にカートリッジの機種名をメモしておいて、
そのレコードを演奏する時には、かならずそのカートリッジにつけかえる。
そこまでまめな人でなくても、常用カートリッジはひとつときめていた人でも、
季節の変り目であったり、気分を大きく変えたい時、あるいはふだん聴かないジャンルを音楽を鳴らすとき、
その音楽がふだん聴いている音楽と大きく異る性質のものであるならば、カートリッジの交換によって、
うまくいけば、その性質の違いは際立ってくることになる。

一部、非常に高価なカートリッジはあったものの、アナログ全盛時代においては、
カートリッジの価格はそう高価なわけではなく、手の出しやすいモノが多かった。

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