BBCモニター、復権か(その9)
ロジャースのPM510を手離して、それからいくつかのスピーカーシステムを鳴らしたあと、
BBCモニタースピーカーの原点ともいってよいLS5/1を手に入れた。
まだインターネット・オークションはなかった時代だから、
オーディオ雑誌の巻末に載っている売買欄の「売ります」に、LS5/1が載っていた。
そこにはKEF LS5/1Aとあったが、実際にはLS5/1だった。
美品とあったけれど、お世辞にも美品とはいえなかった。
附属の専用アンプのオーバーホール済み(ACバランス、DCバランスともに調整済み)と書いてあったが、
中をみればわかるのだが、いったいどこを調整したの? といいたいくらい状態だった。
LS5/1とPM510の音の傾向はずいぶんと違うところがある。
それでも音が鳴った瞬間、いいなぁ、と反応してしまっていた。
改めてBBCモニターの音には惹かれてしまうことを再確認した。
これが1990年だった。
このころBBCモニターの新製品はまったく登場してこなくなっていた。
BBCの放送局で使用する性格のモノだけに、新製品が毎年登場するわけではない。
それはわかっていても、オーディオ雑誌の誌面にもほとんど登場していなかった、と記憶している。
イギリスのスピーカーといえば、タンノイがあったしB&W、ATCなどもあった。
B&WのスピーカーはタンノイよりもBBCモニターの方に近い、といえなくもないが、
同じとは決していえず、優秀なスピーカーという印象に、私の場合、留まってしまう。
もうBBCモニターの音、その流れを汲む音は忘れ去られてしまっているのか。
ますますそう感じるようになっていっていた。