電子制御という夢(その21)
デンオンもソニー、ビクターに続いて電子制御トーンアームを搭載したプレーヤーシステムを出した。
デンオンは、ダイナミックサーボトレーサーと呼んでいた。
デンオンは、ソニー、ビクターとは少し違っていた。
ソニーの最初の電子制御トーンアームを搭載したPS-B800は200000円だった。
PS-B800の上には1977年発売のPS-X9(380000円)があった。
PS-X9はカートリッジ附属(XL55Pro)、イコライザーアンプ搭載のプレーヤーシステムであるから、
PS-B800とは製品としての性格が異る面ももつため、
完全な比較はできないというものの、
PS-B800は少なくともソニーにとって最上級のプレーヤーシステムではなかった。
PS-B800は1981年ごろ製造中止になっている。
後継機種といえば、PS-X700、PS-X75、PS-X600Cといった、PS-B800の普及モデルでなっていた。
ビクターも最上級機に電子制御トーンアームは搭載していなかった。
デンオンは普及クラスだけでなく、最上級機のDP100Mにも電子制御トーンアームを搭載していた。
DP100Mは、プロ用機器に準ずる内容をもったプレーヤーシステムである。
DP100MにはアームレスタイプのDP100もあった。
価格はDP100Mが900000円、DP100が700000円。
単純に計算すれば、DP100Mの電子制御トーンアームの価格は200000円ということになる。
1981年当時、トーンアーム単体の価格として、200000円は最も高価だった。
とはいえすば抜けて高価だったわけでもない。
フィデリティ・リサーチのFR66Sは140000円、パイオニアのExclusive EA10は130000円、
マイクロのMAX282は150000円、サテンのAR1Sは148000円だった。