Date: 10月 9th, 2010
Cate: 真空管アンプ
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真空管アンプの存在(その66)

ついつい非安定化電源よりも定電圧電源(安定化電源)のほうが、性能(安定度)の高さだけでなく、
使用部品点数も格段に多くなり、音質的にもメリットがあると思いたくなる。

増幅回路のヴァリエーションがじつに多彩なのと同じように、定電圧電源の回路にもいろいろある。
だから、すべての定電圧電源が非安定化電源よりも勝っているわけではないし、
十分に練り上げられた定電圧電源でも、音質面で非安定化電源よりも優れているとは、必ずしもいえない。
それこそじつにさまざまな要素が絡み合ってのことだから、
いまもって結論は出ていない……、私はそう受けとっている。

三端子レギュレーターは、もっとも手軽に定電圧電源がつくれる。
実験用としては便利な部品のひとつである。
けれど、便利だからといって、ただそのまま何の工夫もせずに使ってしまっては、
よりよい音を求めようとしたときには、いくつか問題がある。

要は使い方が大事なのだが、ヒーターなんて直流点火さえしておけば十分、
さらに定電圧化しておけば、もうなにも問題はない、
そんな発想からヒーターの点火回路に三端子レギュレーターを使っているアンプは、
ずいぶんと、真空管アンプの音の特質を損なっている、と私の試聴した経験からいえることだ。

三端子レギュレーターの安易な使用より、
非安定化電源(つまり整流ダイオードと平滑コンデンサー、それに抵抗を組み合わせたπ型フィルター)が、
すっきりとした、清々しい音を聴かせる。
それは、頭の中で、傍熱管であってもヒーターの点火方法は重要なことだとわかっていても、
実際に耳にする音の差には、多くの人が驚くと思う。

そして、誰しもが、直熱管のフィラメントだったら、
もっとこの違いはより大きくはっきりとするのか、と思うはず。

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