ボンジョルノのこと、ジャーマン・フィジックスのこと(その22)
800Aに対する私の思い入れは、続いていてた。
ステレオサウンドで働くようになってからも続いていた。
1982年、まだ19歳の時にロジャースのPM510を買った。
ステレオサウンドで働いていたおかげで、輸入元オーデックスのYさんのご好意によって、なんとか手が届いた。
ステレオサウンド 56号に掲載された瀬川先生による紹介記事を読んだときから、
PM510は4343とともに、自分のものにしたいスピーカーシステムの筆頭候補になっていた。
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全体の印象をまず大掴みにいうと、音の傾向はスペンドールBCIIのようなタイプ。それをグンと格上げして品位とスケールを増した音、と感じられる。
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瀬川先生のPM510の文章の中で、音については、まずこういう表現からはじめられている。
このわずか数行だけで、もう魅了されていた。
なんどか書いているように、熊本のオーディオ店で瀬川先生は定期的に「オーディオ・ティーチイン」という、
あるテーマによる試聴会を行われていた。
その中で、スペンドールのBCIIとJBLの4341を鳴らされた回があった。
たしかに4341はすぐれたスピーカーだ、ということは、それが万全な調子で鳴っていなくても明らかだった。
それにくらべると、BCIIの鳴り方は、どことなくこじんまりしている。
スピーカーそのものの大きさの差以上に、BCIIはこじんまりと鳴る。
音の表現の精確そのものが対照的であるために、よけいにそう感じたのだろうが、
それでもBCIIのほうを「いいスピーカーだなぁ」と思っていた。
4341(4343)まではいかなくても、これがもう少しスケールが大きくなってくれたら、
どんなに素晴らしいだろうか、とBCIIの音をはじめて耳にしたときからずっと思い続けてきていた。