電子制御という夢(その14)
トーンアームにオイルダンプを採用したモノが昔からある。
SMEの3009、3012もフルイドダンパーFD200を後から取りつけることでオイルダンプ機構を搭載できる。
日本のトーンアームではオーディオクラフトの一連のモデルがワンポイント支持のオイルダンプである。
他にもグレイの206といった重量級のトーンアームもあるし、
常にどの時代にもオイルダンプのトーンアームはあった。
これらのトーンアームは軸受け、もしくは軸受け周辺でのオイルダンプである。
だが制動ということで考えればトーンアームの軸受けもしくは周辺でよりも、
カートリッジの針先に近いところで制動をかけたほうが、より効果的であるし、
その両方で制動をかけるという手もある。
ステレオサウンド 68号に、ロックというイギリスのアナログプレーヤーが紹介されている。
特集記事でも新製品紹介のページでもなく、
巻末にあるBestBetsというイベントや新開発の技術などを紹介するページに載っている。
ロックに搭載されているトーンアームはオイルダンプ。
軸受けでのオイルダンプの他に、ヘッドシェルの先端部もオイルダンプしている。
SMEのFD200をもっと長くしたオイルバスがキャビネット前面にあり、
ディスクをターンテーブルプラッターの上にのせてから、このオイルバスを動かし、
ヘッドシェルの先端をこのオイルバスにつけるというものだ。
オイルも軸受けとフッドシェル先端では粘性の違うものを採用している、とある。
このプレーヤーは、イギリスのベドフォードシャーにあるクランフィールド工科大学が開発し、
エリートタウンズヘッド社が製品化。
このプレーヤーの情報は輸入商社からではなく、別のところから届いたものだった。
イギリスの最新アナログプレーヤー事情ということで誌面に載せたけれど、
掲載時には輸入元は決っていなかった。
その後、このロックについての情報を聞くことはなかった。