日本のオーディオ、これから(その9)
(その4)に自転車のカーボンフレームのコピーについて書いた。
アメリカ、ヨーロッパの有名ブランドのフレームも、
本国で作られるモデルもあるが、中国、台湾で作られるモデルもある。
けれどこれらのカーボンフレームに使われるカーボン繊維の多くは日本製である。
カーボンフレームやカーボンホイールをバラしていって、見事なコピーを作れても、
カーボン繊維そのものを作れる(コピーできる)わけではない。
いつの日かカーボン繊維も中国製、台湾製になるだろうが、
その時は日本のカーボン繊維は、いまよりも優れているのではないだろうか。
先のことはわからないから、
日本のカーボン繊維よりも中国、台湾のカーボン繊維が優れる時代も来るかもしれない……。
それでもいわゆる素材の、日本の強みというのは確かにある。
ふり返ってみれば、日本のオーディオは、新素材の積極的な導入でもあった。
ドーム型振動板にベリリウムを取り入れたのも早かった、
カートリッジのカンチレバーにもベリリウムは1970年代に取り入れられていた。
ベリリウムだけでなくボロン、チタン、マグネシウムも登場したし、セラミック、カーボン、人工ダイアモンドなど、
他にもいくつもあって、すべてを書き連ねないが、
実にさまざまな素材がオーディオ機器に取り入れられていった。
このことは日本のオーディオが海外のオーディオに先駆けて、ということとともに、
日本のほかの業種よりも、日本のオーディオは新素材の導入に積極的であったのではないか。