オーディオと「ネットワーク」(その18)
それから、別項「LINN EXAKTの登場の意味するところ」でも書くことになることがある。
以前、「中点(その12)」で、
レコードは、レコードの送り手側にとっては最終点であり、
レコードの受け手(聴き手)にとっては出発点になる、という黒田先生が、かなり以前に書かれたことを引用した。
オーディオと「ネットワーク」について考えていくとき、
この最終点が最終点でなくなりつつある。
このことはレコード(録音されたもの)に関してだけではない。
スピーカーシステムに関しても、
これまではメーカーがいわゆる「最終点」として出してきたモノを、
使い手は購入し、それを出発点としていたわけだ。
だがオーディオのシステムが、いま以上にインターネットとの結びつきを深め、
単にプログラムソースを配信するサイトとの接続にとどまらず、
オーディオメーカーとのサイトにも接続されるようになり、
さらにはソフトウェア専門のメーカーも登場し、そこへも接続する、ということになっていけば、
もうスピーカーシステムは、最終点とはいえなくなる。
つまりユーザーのリスニングルームに設置されてしまえば、
基本的にメーカーは何も手を出すことはできない。
その意味で最終点だったわけだが、
インターネットを通じて、そのリスニングルームで鳴っている情報をメーカーにフィードバックすることで、
メーカーはその部屋に応じたプログラム(調整方法)を送り返してくれ、
スピーカーシステム側で自動的に補整する、ということは、もう夢物語ではなくなっている。