Date: 7月 4th, 2010
Cate: ステレオサウンド特集
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「いい音を身近に」(その12)

まわりにいる人にきかれたくないとき、声をひそめて話す。
きく側は、聞き耳をたてる。
話す二人の距離は、他の人に聞かれてもいいときにくらべて近くなる。

距離が縮まることによって、ある種の親密感みたいなものがそこに生れてきはしないか。

QUADのESLでは、パワーアンプを慎重に選んだとしても、得られる音量には限りがある。
どんなパワーアンプをもってこようと、どれほどパワーアンプに贅沢をしたとしても、
ダイナミック型のスピーカー(とくにホーン型)のような音圧を得ることは無理である。

二段スタック、三段スタックと、ESLの数を増やしていくのであれば話は違ってくるが、
ESLを片チャンネルあたり1本で鳴らすのであれば、音量の制限をなくすことはできない。

それにESLの音の鳴り方も、声をひそめて話すような性質がある。
きき耳をたてる聴き方を、自然とESLは聴き手に求めている。

だから、ときにESLとでの音楽とのつき合いでは、近づくこともおこる。
そんな気がする。だから把手があるのかもしれない。

黒田先生は、コンサイス・コンポとスピーカーシステムを、キャスター付の白い台に置かれていた。
キャスターの存在のおかげで、
片手で簡単にスピーカーシステム(オーディオシステム)との距離を変えられる。

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