Date: 7月 3rd, 2010
Cate: High Fidelity, 五味康祐
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ハイ・フィデリティ再考(その1)

「誠実」を和英で引いたら、good faith; sincerity; reliability; 《文》 fidelity とあった。
fidelityもなの? と思った。

fidelityを引くと、①〔人·主義などへの〕忠実, 忠誠 ②原物そっくり, 真に迫っていること, 迫真性、とある。
オーディオでながいあいだ使われてきたHigh-Fidelityは、
②の意味で、いうまでもなく「高忠実」とされてきた。

何に対して「高忠実」であるかも、同時に議論されてきているが、
いちおう「原音」に対してということでおさまっているといえよう。

もっとも「原音」とはなにを指すのか、が、また議論の対象となるけれども、
ハイ・ファイ(ハイ・フィデリティ)ということばのなかに、
原音再生の意味合いも含まれている、といっても特に大きな問題はなかろう。

原音とは、聴き手の元に届けられるアナログディスクやCDなどのパッケージメディアにおさめられたもの、
マスターテープにおさめられたもの、マイクロフォンがとらえたもの、
録音の場で鳴り響いたもの、などであろうが、いずれにしても「音」について問われている。

だが、fidelityに、誠実や忠誠という意味があるわけだから、はたしてそれだけでいいのだろうか。
High-Fidelityを、高い忠実度→原音再生、と捉えるよりも、
より誠実であるもの、より忠誠的であるもの、とするなら、何に対して誠実で忠誠なのかは、
「音」ではなく、やはり「音楽」に、より誠実である、と解釈すべきではなかろうか。

音楽に対する高い誠実度ということになると、
これまでハイ・フィデリティということからは無視されてきたスピーカーシステムやオーディオ機器に、
光が当ってくる。

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