ラックのこと(その7)
とにかくGTR1Bの天板の真ん中にくるようにオーディオ機器を置く。
後にもっていったり、前寄りにしたり、左右どちらかにずらして置いたりは、この段階ではしない。
とはいえ、ラックの天板、棚板の真ん中に置くのが必ずしもベストというわけではない。
にも関わらず、神経質そうに天板の真ん中に置くのを、ミリ単位で測る人がいる。
そして、それが音がもっともいい、という。
アンプでもCDプレーヤーでもいいのだが、たいてい脚は四つもしくは三つついている。
これらの脚に均等に荷重がかかっているのであれば、
つまりオーディオ機器の重量バランスが完璧であれば、
ラックの天板・棚板の真ん中に置くのがいちばんいい、というのはわかる。
だが現実には、重量バランスはたいていがどこかに偏っている。
偏っていれば、すべての脚に均等の荷重というわけにはいかない。
それにすべてのアンプなりCDプレーヤーの脚が、筐体底部の四隅に取り付けられているとはかぎらない。
メーカーによっては脚の位置を前後で変えているものもある。
それに三点支持で、三つの脚のものも少なくない。
そういったオーディオ機器の場合でも、とにかくきちんと真ん中に置くことが、
もっとも音がいいと思い込み、定規できちんと合わせている人を見ていると、
滑稽というよりも、なんといったらいいのだろうか、
思い込みの激しいことはシアワセなんだなぁ、と羨ましいのとは違うけれど、
ほんのちょっとだけそれに似たものを感じないわけではない。