趣味のオーディオとしてのカタチ(その5)
アルテックの同軸型ユニット604シリーズは、
中高域のホーンがウーファーの前面に配置されている。
604-8Gまではマルチセルラホーン、604-8H以降はマンタレーホーンという変更はあるものの、
ホーンがユニットのセンターに、このユニットが同軸型であることを誰の目にも明らかなように、
存在感たっぷりに、そこにある。
これだけの大きさのモノがウーファーの中心、その前面にあるということは、
音響的には不利といえる。
タンノイの同軸型ユニットは、
アルテックのストレートコーンに対しカーヴドコーンを採用し、
ウーファーのコーンをホーンの延長として利用するという設計であるために、
604のようにホーンが前面に張り出してはいない。
タンノイの古いカタログが、インターネットで見ることができる。
それらの中には、アルテックの同軸型との比較で、
ホーンが前面にないため、タンノイの同軸型が音質的に有利であることを示す図が載っている。
アルテックと同じアメリカの、もうひとつの代表的な同軸型ユニット、
ジェンセンのG610もタンノイと同じようにウーファーの前面にホーンを設けていない。
タンノイの指摘に頼らなくとも、
604シリーズのホーンそのものが音質に影響を与えることぐらいは、容易に想像できる。
そんなことはわかったうえで、それでも604シリーズの外貌(カタチ)は、いいと感じてしまう。