ワイドレンジ考(その17)
JBLがプロフェッショナル部門の設立と同時に発表した
スタジオモニターの4310と4320(1971年発売)。
ワイドレンジについて語るとき、4320のその後の変遷は興味深い。
4320の原型は、C50SM。1962年に発表されている。約170リットルのエンクロージュアは密閉型で、
2ウェイのS7と3ウェイのS8の2つの型があった。
4320は、大ざっぱに言えば、C50SM/S7をバスレフ型に、使用ユニットをプロ仕様のモノに変更、
クロスオーバー周波数も500Hzから800Hzになっているのは、耐入力向上のためでもある。
翌72年に、4320の小改良モデルとして4325を出す。ウーファーを2216に変更(4320は2215B)、
ドライバーとホーンは4320と同じだが、クロスオーバーは1.2kHzに上げられている。
発表データでは、4320の低域レスポンスは40Hz、4325は35Hzと少しだけワイドレンジ化されている。
4325の評価は必ずしも高いものではなかったようで、4320は製造中止にならず併売されている。
4320、4325が、アルテックの604を使用したモニタースピーカーに代わり、
スタジオに導入されるケースが増えるとともに、低域レスポンスの拡張、最大出力音圧レベルの向上、
クロスオーバー付近の音質向上が求められ、74年に、4330/4331に改良される。
4331がネットワーク仕様モデルに対し、4330はバイアンプ駆動専用である。
そして同時に3ウェイモデルの4332/4333も発表されている。