ワイドレンジ考(その18)
同じ2ウェイの4320と4331は、エンクロージュアのプロポーションやつくり(板厚)は同じだが、
ユニットは、ウーファーが130A系の2231Aになっている。
4320採用の2215Bは、LE15系のハイコンプライアンス型で、
磁束密度も2231Aが12000ガウスと高くなっている。
中高域のホーンも変更されている(ドライバーは同じ2420を採用)。
4320採用の2307はホーン長・約22cmに対して、4331の2312は約29cmだが、
クロスオーバー周波数は800Hzと同じだ。
2231Aは、マス・コントロールリングを採用したJBL初のウーファーだ。
軽くて硬いコーン紙を使いながらも、
コーン紙とボイスコイルボビンの接合部に金属のリングをつけることで、
f0(最低共振周波数)を下げることを実現している。
外観上の変更点は、ユニットのレイアウトとバスレフポートの数の変更だ。
4320は3ウェイ化するときに追加する2405の位置が、
ウーファー、ミッドレンジ、トゥイーターが縦一直線に並ぶようになった。
バスレフポートは4320の2つから1つに減り、当然チューニングも変えられている。
4331、4333について、瀬川先生はステレオサウンド 41号に次のように書かれている。
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しかしこのシリーズは、聴感上、低域で箱鳴りが耳につくことや、トゥイーターのホーン長が増してカットオフ附近でのやかましさがおさえられた反面、音が奥に引っこむ感じがあって、必ずしも成功した製品とは思えなかった。
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翌75年に、4331と4333のコンシュマーモデル、L200とL300が発表される。
この両モデルの成功が、4331、4333にフィードバックされ、76年に4331A、4333Aになる。