ワイドレンジ考(その15)
以前から言われていたことだが、安易にワイドレンジ化すると、
中域が薄く(弱く)なるということがある。
この場合のワイドレンジ化はトゥイーターによる高域を伸ばすことだが、
トゥイーターを追加してもレベルを他のユニットときちんと合わせて鳴らせば、
中域が薄くなるということは理屈に合わないように思える。
そう思って聴いても、中域が薄く感じられる例がある。
井上先生もステレオサウンド62号に、具体例を書かれている。
※
余談ではあるが、当時、4320のハイエンドが不足気味であることを改善するために、2405スーパートゥイーターを追加する試みが、相当数おこなわれた。あらかじめ、バッフルボードに設けられている、スーパートゥイーター用のマウント孔と、バックボードのネットワーク取付用孔を利用して、2405ユニットと3105ネットワークを簡単に追加することができたからだ。しかし、結果としてハイエンドはたしかに伸びるが、バランス的に中域が弱まり、総合的には改悪となるという結果が多かったことからも、4320の帯域バランスの絶妙さがうかがえる。
ちなみに、筆者の知るかぎり、2405を追加して成功した方法は例外なく、小容量のコンデンサーをユニットに直列につなぎ、わずかに2405を効かせる使い方だった。
※
なぜこういう現象が起こるのか。
40万の法則が、ここでも当てはまる、と私は思っている。