アナログディスクと3D Printing(その1)
3Dプリンターでアナログディスクを出力する──、
こんなことを試した人がいることを約一年前に紹介している。
Digital Integration(デジタル/アナログ変換・その2)をお読みいただきたい。
こういう発想は思いつかなかった。
アナログディスクの製造方法として少量生産ならばおもしろいだろうが、
あるまとまった数になると効率がいいとはいえない。
やはり、従来と同じようにプレスしていくのが効率的である。
プレスしていくためにはスタンパーが必要になり、
そのスタンパーをつくる工程としては、まずカッティングがある。
カッティングマシンによりラッカー盤への切削である。
ラッカー盤とは平坦なアルミ盤(厚さ約0.95mm)の両面に、
硝化綿(ニトロセルロース、別名ラッカー)をコーティングしたもの。
ラッカーのコーティング層の厚みは約0.185mm。
ラッカー盤の製造会社は、アナログディスク全盛時代には海外に三社あった。
ラッカー盤以前はロウ盤が使われていた。
ロウ盤でもレコードの製作は可能なのだが、
テストカッティングしたロウ盤は再生することができなかった。
ラッカー盤は基本的に一回の再生には耐えられる。
もちろん一度再生したラッカー盤はそのまま廃棄される。
カッティングされたラッカー盤はいわばアナログディスクの原型でもある。
これをベースにしてスタンパーがつくられるわけなのだが、
その過程はいくつかの工程にわけられる。