EMT 930stのこと(購入を決めたきっかけ・その4)
トーレンスのPrestigeが悪いプレーヤーでないことは、当時からわかってはいた。
頭では、Prestigeにはこういう良さがある、Rederenceにはない良さもある──、
そんなふうにPrestigeの良さを積極的にさがそうとしていた。
そうやって自分を納得させようとしていたわけだ。
なぜそんなことをしていたのかというと、SMEの3012-R Special用のターンテーブルとして、
Prestigeに決めよう(といってもすぐに買える金額ではないから目標にしようという意味が強い)としていた。
他にないではないか、これしかないのだから……、
そんなふうに自分自身をなんとか納得させようとしていた……。
そのトーレンスから、今度は101周年記念モデルとして、
EMTの930stのトーレンス・ヴァージョン、101 Limitedが出た。
このころのトーレンスの輸入元はノアだった。
そのノアの野田社長が、ある晩、編集部に101 Limitedを持ってこられた。
なぜ昼ではなく、夜だったのかはもう忘れてしまった。
101 Limitedをすこしでも早く誰かに見せたかったからなのかもしれない。
その晩、編集部には私の他にHiVi編集長のOさん、ステレオサウンド編集部のSさんとNさんがいた。
仕事をしていたわけではなかったはずだ。
オーディオ談義をしていたところに、101 Limitedが現れたのだ。