the Review (in the past) を入力していて……(その43)
HQDシステムは、スピーカーシステムの名称ではなく、コントロールアンプ、
エレクトロニック・デヴァイディングネットワーク、
パワーアンプまでを含んだトータルとしてのシステムの名称である。
そのスピーカーシステムは、一般的なスピーカーシステムとは形態が大きく異り、
完成品というよりも、マークレビンソンとしてのスピーカーのアイディアのひとつの提示である。
だからダブルスタックのQUADの設置場所、それに仰角の調整、
ハートレイのウーファーの置き場所と、その相対関係、
個々のレベル調整など、多岐にわたる調整箇所によって、
HQDシステムの音の変化幅は、通常のスピーカーシステムを鳴らすよりも広いところももつだろう。
ひと言で、HQDシステムは、こういう傾向の音、とは言いにくい面があることは承知のうえで、
アンプ関係はまるっきり同じでも、JBLの4343を、バイアンプドライブしたとき、
それもウーファーをML2Lのブリッジ接続で鳴らしたときの、「おそるべき迫力」をもって、
音楽が聴き手に迫ってくるスリリングな感じは、ひじょうに出にくいのではなかろうか。
HQDシステムと4343とでは、音源(音楽)と聴き手の距離感に、決定的な違いがある。
蛇足とはわかっているが、「近い」というより間近なのは4343であり、
やや距離をおくのがHQDシステム、であると書いておく。