Date: 8月 19th, 2013
Cate: ジャーナリズム
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オーディオにおけるジャーナリズム(編集部とは・その5)

1976年に、スレッショルドのデビュー作、そしてネルソン・パスの最初のアンプ、800Aが日本に入ってきた。
ファンによる空冷方式をとっていたけれど、A級動作で200W+200Wの出力をもつというふれこみだった。

そのころパイオニアのExclusive M4がやはりA級動作で、
しかもM4もファンによる空冷方式をとりながらも、出力は50W+50Wだから、
800Aの200W+200Wは驚異的な値だった。

詳しい技術内容が伝わってこなかったから、
最初はA級アンプということだったが、のちに可変バイアス方式のアンプであることが判明、
そしてこの回路技術は日本のアンプメーカーに大きな刺戟となっていった。

いくつものA級動作を謳う回路方式が誕生した。
高能率A級というえる回路もあったし、ノンスイッチングという意味でのA級という呼称をとっているものもあった。

この時期、ステレオサウンドでも、各社のバイアス回路を中心に、これらの回路技術の解説の記事をつくっている。
このときの筆者が、実は今回A級動作のアンプの発熱量に関しては、まったくのでたらめを書いた人だった。

ずっと以前のことだから、いまのステレオサウンドの読者の中には読んでいない人もいても不思議ではない。
だが、この記事を読んでいて、記憶のいい人ならば、
いったい、あの記事はなんだったのか……、という思っていることだろう。

結局、あの記事は本人が理解して書いていたのか、
そうだとしたら、なぜ今回のような間違いを犯してしまうのか、と思う。

あの記事は、当時、私はいい記事だと思っていた。
各メーカーの技術者に、他社の回路をどう見ているのか、まで取材してあり、
いま読み返しても、良心的な記事と呼べる。

だからいっそう、今回のことが不思議でならない。

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