オーディオの楽しみ方(キースモンクスのトーンアーム・その2)
取り付けるターンテーブルはないけれど、組み立ててみる。
取扱い説明書は入ってなかったけれど、ずっとアナログディスクの再生をやって、
ステレオサウンドの試聴室でいくつものトーンアームを触ってきているから、困ることはない。
このM9BAにはオイルダンプ用のシリコーンオイルを入れた容器がついている。
もうひとつ容器がついていて、これには水銀がはいっている。
着脱可能なパイプ式のトーンアームには、SMEの3009 SeriesIII、オーディオクラフトのAC3000などがあり、
どちらもパイプの根元のところにコネクターがあり、着脱できるようになっている。
M9BAはメインウェイトまで含めたパイプ全体を交換するタイプである。
この場合、コネクターはどうするのか、という問題が出てくる。
SMEやオーディオクラフトの場合は、
ヘッドシェルのプラグインコネクターが、トーンアーム・パイプを根元まで伸びてきた形だから、
これまでのトーンアームと同じである。
けれどM9BAでは、そうはいかない。
着脱可能なパイプからリード線を出してきて、ベースからもリード線を出して、
両方を接続するという方法では、トーンアームの感度を阻害してしまう。
これを解決するために、M9BAは水銀接点を採用している。
ワンポイント支持なので、ベースの中心にはピボットがあり、このピボットを囲うようにオイルバスがある。
そして周囲に四分割された水銀をいれるようになっていて、
トーンアームからは四本のピンが伸びていて、この水銀の中に浸かるようになっている。
つまりワンポイント支持ではあるけれど、この四本のピンと水銀によっても、
トーンアーム・パイプは支持されていることになる。
水銀は、M9BAでは重要な役割を果している。
そのため、現在ではおそらくPL法にひっかかるため、
同構造のトーンアームをメーカーが販売することは無理である。
それに一度設置してしまうと、引越しの際にはひどく面倒になる。
こういう性格のトーンアームなのだが、見ているとあれこれ想像してしまう。