オーディオの楽しみ方(キースモンクスのトーンアーム・その3)
SMEの3012はオルトフォンのSPUのために設計されたトーンアーム、
3009はシュアーのV15のために設計されたトーンアーム、
オルトフォンのRMG309、RMA309などのトーンアームはSPU用である。
日本のトーンアームには、幅広く、いろいろなカートリッジに適応するよう設計されたモノもあるが、
トーンアームは、あるカートリッジとの組合せを前提とすべきものである。
M9BAは軽針圧カートリッジ用だということはわかる。
けれど、どのカートリッジなのだろうか。
取り付けられるカートリッジ自重は4〜6gとなっているが、
M9BAの箱には大きめのメインウェイトも同根されているから、
もう少し重めのカートリッジでも取り付け可能のはずだ。
だが針圧範囲が0.5〜1.5gとなっている。
スタティックバランスだから、針圧計を用意すれば、1.5g以上の針圧もかけることはできる。
けれどM9BAは、もうひとつの機構によって、針圧の範囲は限られてしまっている。
M9BAは、デッカのトーンアーム、INTERNATIONALと同じように、
マグネット式のアンチスケーティング機構をもつ。
そのためのマグネットは、外からは見えないけれど、インターネットで調べてみると、
このへんに入っているのか、というだいたいの位置はわかる。
この機構の調整はできない。
つまり、このマグネット式のアンチスケーティング機構が、針圧範囲を制限している、ということになる。
デッカのトーンアームも、ワンポイント支持のオイルダンプで、マグネット式のアンチスケーティング。
こう書くと、M9BAはデッカのカートリッジ用として設計されたのかもと思う。
けれど、M9BAの時代のデッカのカートリッジ、MarkVの針圧は2〜3gとなっている。
針先の形状によって針圧範囲は多少違っているが、もっとも軽針圧のMark V/EEでも1.0〜2.0gである。
Mark V/EEという可能性は捨てきれずにいるが、
M9BAは、違うカートリッジ用に設計されたのかも……、という考えも捨てきれない。
となると、いったい、どのメーカーのどのカートリッジなのだろうか。