トランスからみるオーディオ(その11)
3Dプリント技術によるプリントコイルの製造(アウトプット)は、技術的にはすでに可能なのかもしれない。
そうでないにしても、そう遠くないうちに可能になるはず。
そうなってくると、次に期待したのは3Dプリント技術によるコイルのアウトプットであり、
さらにその先に期待するのはトランスのアウトプットである。
3Dプリント技術は、人間の手では巻くのが困難な(不可能な)コイルを現実のモノとしてくれる、と思う。
そこまでいかなくとも従来のトランスと同じモノであったとしても、
これまでのトランスがコアもしくは巻き枠にコイルをテンションをかけながら巻きつけていっていわけだが、
3Dプリント技術による巻線が可能となるならば、
テンションをかけることなくしっかりと巻くことができるのではなかろうか。
トロイダルトランスが登場した時に、
コアに継ぎ目がない、このタイプはトランスとして、それまでのEIコアよりも理想に近いといわれた。
けれど電源トランスにおいても、
トロイダルトランスはEIコア型よりも音が悪い、といわれるようになってきた。
たとえばマークレビンソンのパワーアンプ、ML2も、
トロイダルトランスよりもEIコアのモノのほうが、音がよいということで人気がある。
なぜなのか。
トロイダルトランスはコアがドーナツ状ゆえに、自動巻線での製造がむずかしい。
そのためあらかじめ銅線をコイル状にした上で回転させながらトロイダルコアに巻きつける(這わせていく)。
だからどうしても巻線にテンションをかけることができない。
そのためだともいわれていた。
だから職人の手による巻線のトロイダルトランスは、音が良いともいわれている。
長島先生は、ステレオサウンド 62号で告白されているように、
MC型昇圧トランスをつきっきりで巻き方を監督して、
自分用の、とっておきのトランスをつくらせた、と。