トランスからみるオーディオ(その10)
ビクターのダイレクトカップル方式のカートリッジも、
MC-L1000以外のモデルは、ダイレクトカップルとはいっても、
針先とプリントコイルの取り付け位置までには、わずかな距離がある。
この距離があるおかげで針先そのものの交換は、可能なのではないだろうか。
私は、こんな技術はもっていないから、
自分で実際に試したことはないので、確かなこととはいえない面もあるが、
ダイアモンドの針先に直接プリントコイルを取り付けたMC-L1000だと、
プリントコイルを損傷させずに針先から剥がさなくてはならない。
薄く軽量につくられているプリントコイルを、うまく剥がせるものなのだろうか。
うまく剥がせたら、それをまた針先に接着する。
MC-L1000は1980年代半ばのカートリッジである。
MC-L1000をメインのカートリッジとして使っているのであれば、
針先の交換は一度だけではすまなくなる。
ビクターがMC-L1000の針交換に応じてくれているあいだは問題はなくても、
ビクターによる針交換ができなくなって、どれだけの期間が経っているのか、私は知らないけれど、
もう短くない期間であろう。
MC-L1000のプリントコイルは、針先そのもの交換の際の剥がしと再接着に、何回耐えられるのだろうか。
意外に丈夫なものなのかもしれない。
そうでないのかもしれない。
そのへんのことは、私にはわからない。
どちらにしてもプリントコイルが、3Dプリント技術によって製造できるようになれば、
MC-L1000の針交換も可能になる(もしくは楽になる)のではないだろうか。