黄金の組合せ(その15)
AGI・511とQUAD・405、どちらもこの時代のアンプとしてはいち早くOPアンプを採用している。
405の電圧増幅に使われているOPアンプはLM301、405-2からはTL071である。
511のOPアンプはすでに書いているようにフォノイコライザーにはフェアチャイルドのμA749で、
ラインアンプには511bからは不明だが、511、511aはLF357である。
ただ511のごく初期のモノにはラインアンプには405と同じLM301が使われている。
このLM301は一般的な樹脂モールド型ではなくメタルCAN型であり、
Googleで画像検索すれば、LM301使用の511の内部写真を見つけ出すことができる。
LM301からLF357への早い時期での切り替えの理由ははっきりとしないが、
おそらくスルーレイトに関することだと思う。
511のハイスルーレイトともいえる250V/μSという値は、
実はフォノイコライザー部のみの値であり、
フィードフォワードもフォノイコライザーにのみ使われている。
ラインアンプはLF357に変更されてから、スルーレイト50V/μsである。
ラインアンプはNFBのみかけられている。
ただ出力に挿入されている直流成分をカットのためのコンデンサーの両端からNFBをかけている。
それから511と405に共通していることであげられるのは、
どちらも電源スイッチをもたないということ。
511のフロントパネル右下にはスイッチがある。
ただしこれはアンプ本体の電源スイッチではなく、
リアパネルにあるACアウトレットのON/OFFのためである。
511は常時通電型である。
405も405-2からはリアパネルに電源スイッチが設けられたが、もともとない。
QUADのパワーアンプは管球式のIIにしてもトランジスターの303にしても、電源スイッチはない。
22とIIの組合せでは、パワーアンプ(II)からコントロールアンプ(22)へと電源が供給され、
22の電源のON/OFFと連動するようになっている。
33と303組合せでは、303の電源を33のACアウトレットからとることで連動できる。
405に電源スイッチがないのも、コントロールアンプの電源のON/OFFと連動させるためであり、
その意味でも511と405は使い勝手面での相性もいいといえるわけだ。