Date: 5月 11th, 2013
Cate: 598のスピーカー
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598のスピーカーという存在(その15)

1982年の598のスピーカーシステムとして、ビクターZERO5Fine、オンキョーD7R、ダイヤトーンDS73D、
1987年の598のスピーカーとして、ビクターSX511、オンキョーD77X、デンオンSC-R88Z、
それぞれ三機種ずつ挙げているのは、たまたまステレオサウンド 87号でも挙げているからだ。

沢村とおる氏による「スピーカーエンクロージュアづくりの秘密をさぐる」の記事の担当は私ではなかったけれど、
写真の選定と、その説明分を書くのは私がやることになった。
つまり87号で、上記六機種を挙げたのは私なのだから、ここでもそのままいくことにしただけである。

1982年の598のスピーカーと1987年の598のスピーカーの写真を見比べるとわかることがある。
まず1987年の598のスピーカーシステムにはラウンドバッフルが採用されている。

ラウンドバッフルの採用といえば、指向特性の改善ととらえる人が少なくないのだが、
このころの598のスピーカーに採用されているr(半径)の小さなラウンドバッフルでは、
音の波長を考えればすぐにわかることだが指向特性の改善とはあまり寄与していない。

指向特性の改善目的であれば、ダイヤトーンの2S305のようなラウンドバッフルを必要とする。

では何のためのラウンドバッフルかといえば、聴感上のS/N比を高めるためのものである。
フロントバッフルと側版の接合部には角があり、
この直角の部分(エンクロージュアのエッジ)からの不要輻射が聴感上のS/N比を悪化させる。
この部分を丸くするだけでもずいぶんと違ってくる。
ほんとうはすべてのエンクロージュアのエッジを丸めたいところだが、
598という価格帯のスピーカーではそれは無理というものである。

このラウンドバッフルの採用とともに、
外観上1982年と1987年で違いがあるのはレベルコントロールの有無である。

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