電源に関する疑問(その27)
伊藤先生による349Aアンプにおける電源回路の1kΩの働きが、
ほんとうのところはどういうものであるのかは、
実際に、この349Aアンプを製作して、しかも電源トランスの2次側のタップをふたつ用意して、
片方は1kΩがなくてとも規定の電圧がとれるタップ、
もうひとつは1kΩを挿入した状態で規定の電圧がとれるタップとで、
1kΩの抵抗のあるなしの音を聴いていくしかない。
1kΩの抵抗なしでも低音がボンつくことなく鳴るのであれば、
伊藤先生の349Aアンプの音の秘密は、別のどこかにあるということになる。
1kΩの抵抗なしで低音がボンつけば、
1kΩの抵抗による効果ということができ、そうなると(その26)に書いた推論が、ある程度正しいといえよう。
こんなことを書いている暇があったら、さっさと伊藤先生の349Aアンプを作って確かめればすむこと。
1kΩの抵抗の役割に気がついて、もう20年以上が経つ。
にも関わらず検証せずにいる。
それでも1kΩの抵抗の役割について考えていくと、
ある時期のゴールドムンドのパワーアンプの平滑コンデンサーの容量が小さかったこと、
47研究所のアンプにしても、ぎりぎりの容量のコンデンサーしか搭載していないこと、
これらの理由は主に応答速度と語られることが多い、そのことについてもこれだけではない見方ができる。
確かに同一コンデンサーで、容量だけが違うものを集めて測定すると、
充放電の時間は容量が小さなコンデンサーのほうが、わずかとはいえ速い。
ゆえに応答速度の速さが音の反応の良さに活きている──、
そういえないこともないけれど、
電源トランスとの2次側のコイルとの共振周波数の、
コンデンサーの容量による変化も忘れるわけにはいかない。