80年の隔たり(その4)
岡俊雄氏の著書「マイクログルーヴからデジタルへ」(刊行:ラジオ技術社、現・アイエー出版)によると、
デジタル録音による最初のLPは、
1971年4月25日に発売された「打!──ツトム・ヤマシタの世界」(NC8004) とある。
日本コロムビアから発売された。
このPCM録音(当時はデジタルではなくPCMという言葉が使われていた)は、
NHK技研による実験試作機で、コロムビアが自社開発したPCM録音機は、72年に登場している。
いまのデジタルの基準からすると、その機械の大きさは、想像できない人もいるかもしれない。
当時の写真には、傍らに女性が写っているが、機械の高さは、その女性の身長とほぼ同じ、
横幅は身長よりもはるかに大きい。
ビデオテープ・レコーダーを使用したもので、メカ部の他に、信号処理部、
ディスプレイ付きのコントロール部の3つの大きな筐体から構成されている。
おそらく3つの機械の総重量は、400kgを越えているだろう。
スペックは、サンプリング周波数が47.25kHz、13ビットである。
2年後には、テープ幅が約1/2の2号機が完成し、ヨーロッパでの録音を実現している。
3号機では1/4になり、4号機でUマチック・ビデオを使うようになり、
可搬性の向上とともに、ビット数も増えていく。
デジタル録音の歴史も、40年近くになろうとしている。