Archive for 10月, 2020

Date: 10月 8th, 2020
Cate: Cornetta, TANNOY

TANNOY Cornetta(music wednesdayでの音・その3)

選曲という冒険。
このことを実感した10月7日の、四時間の夜だった。

音の世界は茫洋だ。
音の世界だけにかぎったことではないのだろうが、
音の世界は茫漠だ。

茫洋か、茫漠か。
どちらにしても、その音の世界を渡っていくためには、
乗り物が必要となる。

ここでは乗り物とは、オーディオ機器である。

乗り物だけでは、行き先を示してくれる、そして照らしてくれる存在がなければ、
人は先に進めないだろうし、
たとえ進んだとしても、同じところをぐるぐるまわっているだけだったり、
正反対の方向に歩み出したりする。

行き先を示してくれる、照らしてくれるのは、音楽。
ここでの音楽とは、録音された音楽である。

別項『戻っていく感覚(「風見鶏の示す道を」)』で書こうとしているのは、
そういうことである。

オーディオ機器がある、レコード(録音物)もある。
これらが揃えば冒険ができるのか。

何度もしつこいぐらい書いているが、「音は人なり」である。
オーディオからの音が、往々にして聴く音楽の傾向に影響する。

その音は、それを鳴らす人そのものだ。
ここにオーディオのジレンマがあるように感じている。

冒険しているつもりなのではなく、
音の世界を冒険していくために、野上さんと赤塚さんにDJをお願いした、ともいえる。

8月下旬に、二人にお願いした。
その時は、音の冒険ということなんて、まったく考えていなかった。

それに昨晩のスピーカーをコーネッタではなく、
アルテックにしていたら、音の冒険に必要なこととして、
信頼できる、尊敬できる音楽の聴き手の存在について考えることはなかっただろう。

Date: 10月 8th, 2020
Cate: Cornetta, TANNOY

TANNOY Cornetta(music wednesdayでの音・その2)

7月からの三ヵ月、audio wednesdayではコーネッタを鳴らしていた。
今回は、私が選曲するわけではない。

野上さんと赤塚さんの選曲であり、
そこでの選曲しだいでは、コーネッタでは無理を強いることになるのでは──、
と思うところもあった。

ひさしぶりに喫茶茶会記のアルテックを鳴らそうか、とも思いながらも、
コーネッタとどちらにしようかと迷ってもいた。

迷っていることはすでに書いているから、
読まれた方のなかに、なぜ迷うのか? と思った人もいよう。

どちらにしたか、というと、タイトルからわかるようにコーネッタである。
10月7日は雨だった。
それから赤塚さんの好きな音楽に、モロッコの音楽がある。

モロッコとイギリス(タンノイ)、モロッコとアメリカ(アルテック)。
どちらが近いかといえばモロッコとイギリス。

傍からすれば理由にならないような理由で、コーネッタを選んだ。
コーネッタでどうしても対応できないようなことが生じたら、
アルテックに替えよう、とも考えていたけれど、
コーネッタのmusic wednesdayでの音は、
タンノイ号での井上先生のオートグラフの組合せの音は、
こういうことだったのか、と思わせてくれた。

タンノイ号を読んでから41年。
こういうことだったのか、と納得がいった。

それだけでなく、井上先生、すごい! とも思っていた。
コーネッタはステレオサウンドの記事から生れたエンクロージュアである。
井上先生がいたからこそ、コーネッタは誕生した、といえる。

井上先生でなければ、コーネッタは誕生したとしても、
その出来は雲泥の差が生じていた、とも思う。

ここまでコーネッタは鳴るのか、というよりも、
こんなふうに鳴るのか、という驚きが、昨晩の音にはあった。

昨晩のプレイリストは、すでに公開している。
一般的にコーネッタに向いている曲はほとんどない。
むしろ向いていない、と思われる曲が並んでいる。

そういう曲を、なんとかがんばって鳴らしている、という感じではない。
持っている実力で鳴らしている、という感じだった。

昨晩のコーネッタの音を、井上先生に聴いてもらいたかった。
叶わぬことと承知している、それでも心底、そうおもっていた。
「なかなかうまく鳴らすじゃないか」、
そういってくださった、と勝手におもっている。

Date: 10月 8th, 2020
Cate: Cornetta, TANNOY

TANNOY Cornetta(music wednesdayでの音・その1)

1979年にステレオサウンド別冊「世界のオーディオ」のタンノイ号が出た。
タンノイ号の終りのほうに、井上先生による組合せがあった。

いくつかの組合せ(もちろんスピーカーはすべてタンノイ)のなかに、
当然ながらオートグラフの組合せもあった。

このことは別項「井上卓也氏のこと」で書いているので、
こまかいことは省くが、井上先生のオートグラフの組合せの意図は、
ジャズであった。

タンノイ号を読んだ時、私は16歳。
その内容がウソとは思わなかったけれど、俄には信じられなかった。

「五味オーディオ教室」からオーディオの世界に足を踏み入れた私にとって、
オートグラフはクラシックを鳴らす最上のスピーカーの、数少ない一つという認識があった。

井上先生の組合せに登場するオートグラフは、
タンノイによるエンクロージュアの生産が中止になったあとの、
輸入元のティアックによる日本製のエンクロージュアと、ユニットもHPD385Aであり、
同じオートグラフの名称であっても、
五味先生のオートグラフと、井上先生の組合せのオートグラフは、
音の上で同じところもあればそうでないところもある。

それでもオートグラフというエンクロージュアの、構造的なところにある音の本質は、
変化することはないわけで、ジャズが聴ける、という感じにはなっても、
ジャズを鳴らしきることができるとは思えなかった。

ステレオサウンドで働くようになって、井上先生に直接訊ねた。

「こまかいことを言うと、そりゃ、ベースの音は、バックロードホーンだから、
(最初の「ウ」のところにアクセントを置きながら)ウッ、ウーンと鳴る。
でも腰の強い低域で、表情のコントラストも豊かだし、聴いて気持いいから、いいんだよ」
(「ウーン」は、バックロードホーンを通って出てくる、遅れをともなう音を表されている)

楽しそうに話してくださった。
「あれは、ほんとうにいい音だった」とも言われたことも、思い出す。

井上先生は、試聴記にしても大袈裟に表現されることをされない。
そういう井上先生が、こんなふうに表現されているのだから、
タンノイ号でのオートグラフで聴くジャズは、ほんとうにいい音だった、はずだ。

昨晩のaudio wednesday、テーマはmusic wednesdayで、
野上眞宏さんと赤塚りえ子さん二人による選曲を聴いていて思い出したのが、
このことだった。

Date: 10月 8th, 2020
Cate: 218, MERIDIAN

218はWONDER DACをめざす(その20)

昨晩のaudio wednesdayでは、
ネットギアのNighthawk Pro Gaming SX10をメリディアンの218に接続した。

終了後、amazonで、Nighthawk Pro Gaming SX10を検索する人がいた。
スイッチングハブを導入したのは、今回が初めてだから、
他社製のスイッチングハブと比較して、どうとかはいえないが、
改善すべきところもあるように感じたが、
218を使っている人には、すすめることができる。

それでも一つだけ書いておく。
たまたま私が購入したモノだけなのかもしれない。
それでも実際にあったことだ。

付属のACアダプターが最初から故障していた。
Nighthawk Pro Gaming SX10に必要なACアダプターは、12V、2.5Aの容量である。
単純計算で30Wである。

スイッチング電源は進歩しているとはいえ、
付属のACアダプターは、どうみてもそれだけの容量があるようにはみえない。
みえないだけでなく、持ってみても軽い。

一応ACアダプターに貼ってある仕様をみると、条件は満たしている。
なので使ってみた。

けれどNighthawk Pro Gaming SX10のインジケーターが何も点かない。
Nighthawk Pro Gaming SX10には電源スイッチはない。

本体の故障か、と思ったけれど、アヤシイのは小さすぎる、軽すぎるACアダプターである。
さいわい手持ちのACアダプターの一つが、12V、5Aのモノがあった。
大きさも重さも、付属のモノとは違う。
これだけの容量があると感じさせる。

交換するとすんなり動作する。

ACアダプターは、付属のモノの故障がなくても、最初からどうにかするつもりだったから、
ネットギアに苦情を入れる気はない。

でも、ここを読まれた方で、Nighthawk Pro Gaming SX10を購入を考えている人には、
こういうことがあった、ということだけは伝えておく。

Date: 10月 8th, 2020
Cate: ディスク/ブック

Sel

ついさきほど昨晩のaudio wednesdayでのプレイリストを公開した。
19時開始で、23時まで、途中21時ごろ短い休憩を入れたが、
ずっと野上さんと赤塚さんの選曲を聴いていた。

RoonとTIDALを使ってだから、
CDのかけかえによる曲と曲との空きはなく、
切れることなく音楽が鳴っているから、みな黙って聴いていた。

それでも赤塚さん選曲のSmadj(スマジ)の「Sel」が鳴ったあとは、
みな驚いていた。驚きの声があがった。

私も聴いていて驚いていた。
選曲した赤塚さんも、その鳴ってきた音に驚いていたぐらいだから、
みんな驚いて当然なのだろう。

Smadjはチュニジアのミュージシャン。
このブログを読まれている人で、Smadjを知っている、聴いているという人は、
どれだけいるのだろうか。
私はまったく知らなかった。

聴いている人は、少ないだろう。
だから、昨晩聴いたなかで、Smadjの「Sel」をイチオシしたい。

Date: 10月 8th, 2020
Cate: audio wednesday

DJ:Mike Nogami & Rieko Akatsuka’s Playlist

10月7日、audio wednesday(music wednesday)での、
野上眞宏さんと赤塚りえ子さんによるプレイリスト。
(基本的に表記はShazamに従っている)

[野上さん選曲]
Give Up Or Let Me Go/Bonnie Raitt
Mr. Soul/Buffalo Springfield
機関車/小坂 忠
Southern Man/Crosby & Stills & Nash & Young
Bara to yajyu(new ver.)/細野晴臣
Riot In lagos/坂本龍一
Snatch It Back And Hold It/ジュニア・ウェルズ
クライ・ミー・ア・リヴァー/Julie London
エリック・サティの主題による変奏曲/ブラッド・スウェット & ティアーズ
微笑みの研究/ブラッド・スウェット & ティアーズ
Help Me/ジョニ・ミッチェル
Disney Girls(1957)/ビーチ・ボーイズ
バット・ノット・フォー・ミー/チェット・ベイカー

[赤塚さん選曲]
Goya Kur/Ali Farka Touré
Chet Boghassa/Tinariwen
Ai Bine/Ali Farka Touré
Soudani/Nour Eddine
Eghass Malan/les Filles De Illighadad
Sel/Smadj
Ya Racha Fattan/Amina Alaoui
Magat Milkitna Dulaa/Mariem Hassan
Taguerebet/Gaada Diwane De Bechar
Mustt Mustt(Extended)/Kiran Ahluwalia
Sid Redad/Fadoul
Villa Donde/King Coya

[野上さん選曲]
将門(幕開き・夫れ五行子〜立ち姿)/常磐津節
かくれんぼ/はっぴいえんど
Sol/Julian Wassermann
introduction/ワールドスタンダード
Good Red Road/ワールドスタンダード
Fortification/Acronym
ヴィーナス/ショッキング・ブルー
ロック・ロブスター/THE B-52’s
The Steam Packet/Mcleod’s Reel/Paddy Keenan
綱渡り/吉田美奈子
ビリー・ジーン/Michael Jackson
Family Affair(A Cappella)/メアリー・J.ブライジ
What’s Going On/マーヴィン・ゲイ

[赤塚さん選曲]
Zoot Kook/サンディー
Hong Kong Night View/VIDEOTAPEMUSIC
Quiet Village(Synthesizer Version)/Martin Denny
Forever/Pete Drake
Gathering Dust/Roger 23
Middle Of Nowhere/X.Y.R.

[野上さん選曲]
シムーン/Yellow Magic Orchestra
On The Maginot Line/Heuristics Inc.
“Sayonara” The Japanese Farewell Song/ティン・パン・アレー
Berlin (Original Mix)/Tassilo Hagström
Thank U/david Amo & Julio Navas

これらの曲の他に会が始まる前に、
イースト・オブ・サン/Billie Holiday
Serious/ダフィー
1234/ファイスト
I’ve Got A Crush On You/フランク・シナトラとリンダ・ロンシュタットを交互に
聴いている

Date: 10月 7th, 2020
Cate: audio wednesday

第117回audio wednesdayのお知らせ(Bird 100)

11月4日のaudio wednesdayのテーマは、Bird 100。

チャーリー・パーカー生誕100年である。
喫茶茶会記はジャズ喫茶だから、
一度くらいはジャズ喫茶らしいテーマでやろうと思う。

なので「Bird 100」である。チャーリー・パーカーを中心にかけていくわけだが、
チャーリー・パーカーだけでなく、ビリー・ホリディ、チェット・ベイカーもかける。

これでどういう意図なのかわかってもらえるはずだ。

場所はいつものとおり四谷三丁目のジャズ喫茶・喫茶茶会記のスペースをお借りして行いますので、
1000円、喫茶茶会記にお支払いいただくことになります。ワンドリンク付きです。

19時開始です。

Date: 10月 7th, 2020
Cate: オーディオ評論

オーディオ評論家の「役割」、そして「役目」(あるオーディオ評論家のこと・その6)

ここまで書いてきて、五年前に別項に書いたことを思い出す。
菅野先生が、ステレオサウンド別冊「JBLモニター研究」で、次のように書かれている。
     *
 そしてその後、中高域にホーンドライバーを持つ4ウェイという大がかりなシステムでありながら、JBL4343というスピーカーシステムが、プロのモニターシステムとしてではなく、日本のコンシューマー市場で空前のベストセラーとなった現象は、わが国の20世紀後半のオーディオ文化を分析する、歴史的、文化的、そして商業的に重要な材料だと思っている。ここでは本論から外れるから詳しくは触れないが、この問題を多面的に正確に把握することは、現在から近未来にかけてのオーディオ界の分析と展望に大いに役立つはずである。
     *
1998年に書かれている。
4343に憧れてきたひとりとしても、そのとおりだと思う。

けれど残念なことに、いまのステレオサウンドの筆者の誰か一人でもいいから、
4343という材料(問題)を、多面的に正確に把握できる人はいるだろうか。

こういうことを書くと、柳沢功力氏がいるではないか、という人が出てくる。
私は柳沢功力氏には無理だ、と思う。

では、誰がいるか。
誰もいないのが、ステレオサウンドの現状だ。

傅 信幸氏も無理である。
傅 信幸氏よりも和田博巳氏のほうが年上だが、和田博巳氏はもっと無理である。

三浦孝仁氏は、
ずっと以前の記事「名作4343を現代に甦らせる」の試聴記を引き受けていることから、
絶対に無理。

別項で、月刊ステレオサウンドを出すべき、と書いている理由の一つが、
このことに関係してくる。

すべての筆者に、4343という材料(問題)をテーマに、
まとまった量の文章を書かせればいい、と思うからだ。

Date: 10月 6th, 2020
Cate: 「ネットワーク」

オーディオと「ネットワーク」(post-truth・その9)

その個人サイトの主宰者は、私よりもひとまわりくらい若かったはずだ。
マスコミ関係ということも、自身のサイトのプロフィール欄に、会社名があった。

誰もが知る、大手のマスコミである。
さらにそのころ、あるオーディオ雑誌に執筆もしていた。

でも二号ぐらいで、それ以降は、その人の名前は目にしなくなった。
前後してサイトも閉じられたようだ。

何があったのかは知らない。
本業が忙しくなっただけなのかもしれない。
副業が認められない会社だったのかもしれない。

何がいいたいのかというと、その人は、おそらく有名大学を卒業して、
大手マスコミに就職。その人の文章は破綻のない、きちんとしたものだった。
そういう人でも、間違った情報を信じてしまっている、ということである。

自分が信用している人のいっていることを、どこまでも信用するという姿勢は、
ある意味立派といえるけれど、少なくとも二人の第三者が違っている、と指摘したことを、
自分で調べることなく、信用している人のいっていることだから、を譲らない。

どんな人にも記憶違いや間違いはあるはずなのにだ。

マスコミ関係といっても、検証することが強く求められている会社のはずだ。
そういう会社に勤務していても、仕事では検証、再検証されていたのかもしれないが、
趣味の分野となると、そうではなくなるのだろうか。

趣味だから、個人の勝手、自由だろう、と開き直ることもできる。
けれど、その人は短期間とはいえ、オーディオ雑誌に執筆していた。

ニュースで、いろんな詐欺事件のことが流れてくる。
なかには、こういう詐欺に騙される人がいるのか、と思うこともあるけれど、
案外、意外なところで人は騙されてしまうのかもしれない。

その人に、A80のことを話した人に騙すつもりはなかったはずだ。
でも結果としてウソを教えていることになり、
そのウソをひたすら信じ込んでいる人がいた、ということ。

こんなことはどうでもいいことなのだろうか。
このことは、たまたま知っているだけなのだが、
こういう事例は意外にも多いのではないだろうか。

Date: 10月 6th, 2020
Cate: 「ネットワーク」

オーディオと「ネットワーク」(post-truth・その8)

そういえば、と思い出したことがひとつある。
インターネットを始めて二年くらいの時だったか、
まだaudio sharingをつくる前のことだったから、1998年か99年のころだったはずだ。

それまで少なかったオーディオの個人サイトも増え始めてきた。
そのころは、そういった個人サイトを見てまわるのが楽しみだった。

facebookもtwitter、ブログもまだだったころの話だ。
そのころの個人サイトの多くには掲示板が設けられていることも、また多かった。

ある個人サイトを見つけた。
マスコミ関係の人が公開していたサイト(いまはなくなっている)で、
個人サイトにしては、きちんとつくられた感じがしていた。

ここにも掲示板はあった。
そこでスチューダーのA80のことが話題になっていた。

その個人サイトの主宰者は、A80のエレクトロニクス関係は、
マーク・レヴィンソンによる設計だ、と書いていた。

スチューダーのA80と、
A80のトランスポートを利用して、エレクトロニクスをつくりかえたマークレビンソンのML5とが、
完全にごっちゃになっての記述だった。

気になったので、ML5のことを説明しておいた。
すると、そんなことはない、あなたが間違っている、という返事が、主宰者からあった。
なんでも、その人がもっとも信用しているオーディオに詳しい人が教えてくれたから、
というのが、その人の主張だった。

別の方が、主宰者がいっているのはML5のことですよ、と書き込まれた。
それでも主宰者は、A80のエレクトロニクスはマーク・レヴィンソンの設計だ、と譲らない。

しかもマーク・レヴィンソンはエンジニアではない、と説明してもだ。
これ以上書いても時間のムダ、と判断して、書き込むことはやめた。
一週間ほどして、どうなったのかなぁ、その人が信用している人に確認したのかも、
と思ってのぞいてみたら、
私と、ML5ですよ、いっていた人の書き込みが削除されていた。

Date: 10月 6th, 2020
Cate: audio wednesday

第116回audio wednesdayのお知らせ(music wednesday)

明日(10月7日)のaudio wednesdayは、
野上眞宏さんと赤塚りえ子さん、二人のDJによるmusic wednesdayである。

2019年12月のaudio wednesdayは、野上さんにDJをやってもらった。
野上さんも、聴いていた人たちも私も、みな楽しんでいた。
その時に、またやりましょう、ということになった。
今回は、そこに赤塚さんにもDJをお願いした。

野上さんと赤塚さんの音楽の接し方は、私とはずいぶん違う。
違うからこそ、お願いしたわけだし、個人的にも楽しみなわけだ。

野上さん、赤塚さん、それぞれノート型パソコンを持ってこられる。
D/Aコンバーターは、いうまでもなくメリディアンの218。
アンプはマッキントッシュ。
スピーカーは、まだどちらにするか決めていない。

当日、喫茶茶会記に着いて決めようと思っている。

場所はいつものとおり四谷三丁目のジャズ喫茶・喫茶茶会記のスペースをお借りして行いますので、
1000円、喫茶茶会記にお支払いいただくことになります。ワンドリンク付きです。

19時開始です。

Date: 10月 5th, 2020
Cate: 老い

老いとオーディオ(とステレオサウンド・その9)

七年前に「石岡瑛子氏の言葉」を書いている。
スイングジャーナル 1979年1月号に新春特別座談会として、
「ジャズを撮る」というタイトルで、石岡瑛子氏、操上和美氏、内藤忠行氏、武市好古氏らが、
映像の世界から見た、ジャズという素材について語っている中から、
石岡瑛子氏の発言を引用している。
     *
スイングジャーナルは自身で発想の転換を時代の波の中でやっていかなければならない。ゴリゴリのジャズ・ファン以外にもアピールする魅力を持たなければ表現がいつか時代から離れていってしまうでしょう。ジャズというフィールドを10年も20年も前のジャズの概念できめつけているのね。今の若い人たちの間で、ビジュアルなものに対する嗅覚、視覚といったものがすごい勢いで発達している今日、そういう人にとって、今のジャズ雑誌はそれ程ラディカルなものではありません。スイングジャーナルという雑誌の中で映像表現者が果せる力って大きいと想うし、時代から言って必要なパワーなのですね。時代の波の中で、読者に先端的なものを示し、常に問題提起を続ける。それを読者が敏感に感じとってキャッチ・ボールを続けるうちに、誌面はもっとビビッドなものになり得るんじゃないですか。
     *
スイングジャーナルの編集部は、石岡瑛子氏の言葉に耳を傾けなかったのか、
それとも理解していなかったのか。

《ジャズというフィールドを10年も20年も前のジャズの概念できめつけている》とある。
1978年11月ごろに座談会は行われているはずだ。
つまり、その後も、10年も20年も変らずだった。

《古いミュージシャンは、変ることなく、安全でわかりやすい、もうくたびれきったことを何度も何度も繰り返して、博物館のガラスの中の陳列物みたいになっている。》
マイルス・デイヴィスが、自叙伝で語っていることだ。

スイングジャーナルは、何度も何度もマイルス・デイヴィスを取り上げていた。
マイルスの、このことばのままの雑誌になっていった。

Date: 10月 5th, 2020
Cate: 映画

TENET

今日は、映画「テネット(TENET)」を観てきた。
ストーリーについては、話題になっているし、
あれこれ語りたがる人はいるだろうが、
ここで書きたいのはストーリーとか映画の出来、感想ではなく、音である。

冒頭のキエフのオペラ劇場のシーンからそうなのだが、
いつもと音がずいぶん違うことに、すぐに気づく。

私はIMAXで観た。
東京ミッドタウン日比谷にあるTOHOシネマズで観た。

IMAXで観る時は、大半がここである。
だから、どんな音なのかはわかっているはずなのに、
「テネット」は最初の音が鳴ってきてすぐに、
スピーカーが変ったのだろうか、と思いたくなるほど、
いつもの音とはそうとうに違っていた。

とにかく、全体に硬質な音である。
ゴツゴツしている感触がある、といってもいいくらいである。
しかも音量も、他の映画の同じようなシーンよりも大きめのようにも感じた。

背景音、効果音、音楽、すべて硬質な感じが一貫している。
それに背景音も、かなり大きく、字幕があるからいいけれど、
日本語の字幕が読めない外国の人だと、
セリフの聴き取りもけっこう大変な感じもしたシーンもあった。

どうも、あえて、そんな音づくりをしているようである。
日比谷のTOHOシネマズのスピーカーが変っていないことは、
映画本編が始まる前の告知や予告編での音でわかる。

「テネット」の音は、オーディオマニアの私にとっては、
興味深くもあり、オーディオ的快感も感じたりするのだが、不快に感じる人もいよう。

ホームシアターを趣味としている人ならば、
ソフト化が待ち遠しいのではないだろうか。

私はテレビも持っていないので、
サウンドトラックが、どんな仕上がりなのかに興味がある。
11月に発売になる。

Date: 10月 5th, 2020
Cate: 正しいもの

正しい音と正しい聴き方(番外)

今日昼ごろ、神田のパン屋に行った。
古くて小さなパン屋で、昭和からあるパン屋といった風情である。

初めて入るパン屋である。
ここ数年の、私のちょっとした楽しみは、
こういう昭和のパン屋といいたくなる店で、いわゆる調理パンを買うことである。

カタカナで、しかも一度見ただけでは暗記できないような店名のパン屋、
きれいで広くて、パンの値段もやや高めというところも好きなのだが、
ますます数が減ってきている昭和のパン屋は、
あと十年もしたら、ほとんど見かけなくなるのではないだろうか。

いまはスマートフォンがあり、Google Mapを入れていれば、
パン屋と入力すれば、付近の店を表示してくれる。
いろんなところに行っては、こうやって探している。

今日のパン屋に入ったら、モーツァルトのピアノ・ソナタが鳴っていた。
BGMとしては大きめの音量だった。
店主が好きで聴いているような感じを受けた。

店内のテーブルに置かれたラジカセから鳴っていた。
特に高級なラジカセではないけれど、
店に入った瞬間に、グールドのモーツァルトだ、とわかった。

店主に確認したわけではないが、グールドのモーツァルトである。

鳴っていたのは特別な音ではない。
いわゆるラジカセの音でしかない。
それでもグールドのモーツァルトだ、とわかるほどに、
グールドのモーツァルトで聴ける清新さは、きちんと伝わってくる。

グールドのゴールドベルグ変奏曲が、
とても変な音で鳴っているのを聴いたことがある、と以前書いている。

一つは個人宅で、もう一つはある輸入元の試聴会だった。
そんな音で、グールドのモーツァルトが鳴っていたら、
誰の演奏かはわからなかったはずだ。

Date: 10月 5th, 2020
Cate: ショウ雑感

2020年ショウ雑感(その30)

(その28)で、東京での開催にこだわることも考えた方がいいのかもしれないが、
国際フォーラムのような建物が、東京以外にあるのだろうか、と書いた。

(その28)は、7月に書いている。
私が知らなかっただけなのだが、今年4月に奈良県コンベンションセンターがオープンしている。

今日知ったばかりで、実際に行っているわけではないが、
奈良県コンベンションセンターはオーディオショウとして使えるのではないだろうか。

いま大阪のオーディオショウはホテルでの開催である。
以前書いているように、大阪のオーディオショウは、
ずっと以前の輸入オーディオショウのままといっていい。

近畿地方のオーディオショウは、奈良県コンベンションセンターでの開催。
うまくいけそうな感じがするのだが、どうだろうか。