Archive for 2月, 2010

Date: 2月 3rd, 2010
Cate: 使いこなし

使いこなしのこと(その26)

B氏の調整による「音」を私は聴いていないから、確実なことはいえないにしても、
その音を聴いた人の話では、音楽がかなり歪な感じで鳴っていた、ということは伝わってきた。

瀬川先生が書かれている。
     *
スピーカーから出る「音」は、多くの場合「音楽」だ。その音楽の鳴り方の変化を聴き分ける、ということは、屁理屈を言うようだが「音」そのものの鳴り方の聴き分けではなくその音で構成されている「音楽」の鳴り方がどう変化したか、を聴き分けることだ。
(「マルチスピーカー・マルチアンプのすすめ──あなたはマルチアンプに向くか向かないか──」より)
     *
C氏によると、B氏はチューニングのテクニックを、
そのへんのオーディオ評論家よりも持っている、ということだが、
そのテクニックは、ほんとうに「音楽」の鳴り方を調整していくためのものなのだろうか。
B氏は、「音楽」の鳴り方の変化を聴き分けていたのだろうか、
それとも「音」の変化を聴き分けていただけだろうか。

さらに瀬川先生は、「マルチスピーカー・マルチアンプのすすめ」でこうも書かれている。
     *
音楽ジャンルを問わず、音楽の心を掴んで調整し込まれた再生装置なら、必ずその音は万人を説得できるほどの普遍性を帯びるに至る。
     *
B氏は、音楽の心を掴んで調整されていたのか。そしてC氏の耳は、何を聴いていたのか、と問いたくなる。

Date: 2月 2nd, 2010
Cate: 4343, JBL, 使いこなし

4343における52μFの存在(その15・続余談)

このノイズの出方も、注意ぶかく聴くと、左右チャンネルで微妙に違うことがわかるはずだ。

フォノイコライザーがあればそれを接いでノイズを出せばいいが、
CDのみの場合であれば、チェック用CDにホワイトノイズがはいっているものがあるから、それを使えばいい。
ただし音量には気をつけること。

CDプレーヤーの左チャンネル(別に右チャンネルでもいい)から出力を取り出し、
コントロールアンプの左チャンネル、パワーアンプの左チャンネルにいれて、
スピーカーも左チャンネルのみを使い、ノイズの鳴り方を確かめる。

次にコントロールアンプまではそのままで、パワーアンプのみ右チャンネルに信号をいれ、
スピーカーはもちろん左チャンネルで、またノイズを聴く。

パワーアンプによっては、この差はわずかかもしれないし、かなり違った鳴り方をするものもある。
少なくとも、左チャンネルのときと、まったく同一であることは、まずない。

今度はパワーアンプは左チャンネルに戻し、コントロールアンプのみ右チャンネルを使用して、
また同じことをくり返す。やはりノイズの出方は違うはずだ。

さらにコントロールアンプ、パワーアンプとも右チャンネルにする。
これで、4つの組合せの、ノイズの出方をチェックしたことになるわけだ。

Date: 2月 2nd, 2010
Cate: 4343, JBL, 使いこなし

4343における52μFの存在(その15・余談)

モノーラルの状態で音を確認することは、昔ながらの方法なのだが、
いまではすっかり忘れさられているような気がする。

アンプには、入力端子、出力端子にL、Rの指定がある。
とはいえ、なにもこの通りに接続しなければならないわけでは、決してない。
左チャンネルの信号が、最終的に左チャンネルのスピーカーに届けばいいわけで、
そこまでの系路は、どこを通ってもいい。

最新のアンプは、フォノイコライザーを搭載していなかったり、測定上のSN比が向上しているため、
ボリュウムを目いっぱいあげても、スピーカーからノイズがはっきりと聴こえることはほとんどない。
けれど、アナログディスク全盛時代は、入力セレクターをPHONOにして、ボリュウムを最大にすると、
けっこうなノイズがスピーカーから聴こえてきた。

このノイズのおかげで、プログラムソースが何もなくても、それにアース電位を測るテスターがなくても、
AC極性をあわせることが可能だった。

ACの極性をかえると、このノイズの質、量の出方が変化するからで、
とうぜんノイズの質がザラつかず、レベルの低い方が、正しいAC極性というわけだ。

Date: 2月 1st, 2010
Cate: 4343, JBL

4343における52μFの存在(その16)

低音を基準にしてレベルコントロールを行なうということは、はっきりと意識していなくても、
ほとんどのひとが、そうしていることであり、このことが、たとえばサブウーファーの導入にあたって、
反対に、難しさになっていく気もする。

サブウーファーを導入したものの、うまく調整できず、結局は元のシステムに戻してしまったという話を、
直接・間接的に聞くことがあるし、インターネットでも、わりと見かけることである。

残念だと思う。良質な低音が鳴りはじめれば、いままで余裕をもって鳴っていたと思っていたのが、
どこか精いっぱいであったかのように、さらなる余裕をもって、伸びやかに響きが部屋に満ちていくのだから。

なぜサブウーファーの調整が難しい、と感じるのか。
それはメインスピーカーのレベルを基準として、サブウーファーのレベルを調整しようとするからではないだろうか。

土台となる低音(ウーファー)を基準とする調整方法に、知らず知らずのうちになれてしまっているのに、
なぜかサブウーファーの調整時には、そのことを忘れてしまいがちになっていないだろうか。
サブウーファーのレベルを基準として、メインスピーカーのレベルを調整してみる、という感覚を意識するだけで、
サブウーファーの使いこなしのコツのひとつだと、私は実感している。

Date: 2月 1st, 2010
Cate: 4343, JBL

4343における52μFの存在(その15)

ステレオサウンド 51号で、JBLのマルゴリスは、レベル調整のやり方について語っている。

使うレコードは、もちろんよく知っているもの。それをモノーラルで再生すること、が第一。
だからスピーカーは、片チャンネルずつ鳴らし調整していくことになる。

4343の場合、3つあるレベルコントロールすべて絞り込むこと、が第二。
そして音楽を聴き、ウーファーとミッドバスのバランスをとる。次にミッドハイのレベルを、
最後にトゥイーターを調整していく。

もう片方の4343も、同様に調整したうえで、音像イメージがセンターに明確に定位するように、
左右のスピーカーのバランスをとることが、第三。

音像がセンターにぴしっとあった時点で、ステレオで鳴らし、
レコードを変えながら、微調整していくことが、第四のポイントである。

このやり方は、いうまでもなく、レベルコントロールをもつスピーカーシステムであれば、
なにもJBLのスピーカーシステムでなくても、有効な調整方法だと思う。
マルチアンプで組んでいるシステムの調整にも、もちろん有効だ。

このやり方でもわかるように、スピーカーシステムの基準は、低音(ウーファー)にある、ということ。
音楽のベーシックトーンは、低音であり、まず土台となる低音のレベルを決めたうえで、
その上に、中低音・中高音・高音を構築していくべきである。

Date: 2月 1st, 2010
Cate: 4343, JBL

4343における52μFの存在(その14)

現在のJBLの、レベルコントロールに関する考え方は変化しているのかもしれないが、
少なくとも4300シリーズを積極的に展開していた頃のJBLは、レベルコントロールは、
使い手が積極的に調整するためのものと考えていた、と受けとっていいだろう。

ユニットの能率に、±1dBの差があることを前提していた当時のJBLの製品の中にあって、
4350はレベルコントロールがひとつだけで、トゥイーターの2405だけの調整しかできないということは、
何を意味しているのだろうか。

少なくともミッドバス(2202)とミッドハイ(2440)のレベルは、いじるべからず、ということであり、
この二つのユニットに関しては、選別して、能率差がないものを組み込んである、と受けとっていいはずだ。

4350が、他の4300シリーズのスピーカーシステムと決定的に異る点は、
バイアンプ駆動ということよりも、ここにある、と私は考えている。