ジャーマン・フィジックス Troubadour 40のこと(その14)
中核となるユニットは一つ。
つまりDDD型ユニットなわけだが、
ジャーマン・フィジックスのスピーカーシステムのラインナップは多い。
まだチタンの振動膜のDDD型ユニットだけだったころから、そうだった。
すべてのラインナップを、当時、聴いたわけではないが、
個人的に強く心惹かれたのは、Troubadour 40とUnicornの二機種だけだった。
最上機種のGaudíも、タイムロードの試聴室で聴いている。
その時の音が、Gaudíが真価を発揮した音とは思っていないけれど、
それでも自分にとって大事な音、
いいかえれば心に近い音を出してくれるスピーカーであれば、
どんなにひどい状態で鳴っていても、なにかしら感じるものがある。
その意味で、Troubadour 40とUnicornだけだった。
Unicornは、エンクロージュアの製作に時間がかかるのか、
なかなか出来上ってこない、という話を聞いていた。
時間がかかるのがわかっているから、見込みで早めに注文しても、
出来上ってこない。
そのため、Unicornを購入したい人をずいぶん待たせた、ともきいている。
そのUnicornが、MK IIになった。
ずいぶんと変ってしまった──、と感じてしまった。
エンクロージュアの構造を簡略したのか、とも思ってしまうほどだった。
やっぱり、最初のUnicornなのか──。
Unicorn MK IIを聴きもせずに、そんなふうに思ってしまっていた。
しかもDDD型ユニットもカーボン振動膜になった。
そのこともあいまって、ますますUnicorn MK IIへの関心は失っていった。
そんな勝手な思い込みを、今年のOTOTENでのHRS130の音は、
消し去ってくれた。
Unicorn MK II、いいんじゃないのか。
そういう気持が芽ばえてきたし、
聴いているうちに大きくなってもいた。
現在、輸入元のタクトシュトックはHRS130だけしか取り扱っていない。
ぜひとも、Unicorn MK IIの取り扱いも始めてほしい。