Archive for category ブランド/オーディオ機器

Date: 1月 15th, 2023
Cate: German Physiks

ジャーマン・フィジックス HRS130(とサウンドクリエイト・その5)

銀座のサウンドクリエイトに、
今年からジャーマン・フィジックスのHRS130が常設されている。

それだけのことでっても、私にとってはとても嬉しいことだ。
一人でも多くの人が、ジャーマン・フィジックスの音に触れてほしいからだ。

Date: 12月 29th, 2022
Cate: German Physiks

ジャーマン・フィジックス Troubadour 40のこと(その11)

無指向性のスピーカーは部屋の影響を大きく受ける、とか、
設置場所が難しい、とか、そんなことが昔からいわれている。

ほんとうにそうだろうか。
ここでの無指向性スピーカーとは、
ジャーマン・フィジックスのDDD型ドライバーのような無指向性スピーカーではなく、
複数のスピーカーユニットを多方向に取りつけて放射する多指向性のことであり、
多指向性スピーカーの場合、確かに部屋の影響は受けやすい、といえる。

だからといって、真に無指向性、それも直接放射型の無指向性スピーカーを、
そんなふうに最初から捉えてしまうのは、思い込みでしかない。

ジャーマン・フィジックスのDDD型ユニットは、実際どうなのか。
これまで聴いてきた経験から断言できるのは、
むしろ一般的なスピーカーシステムよりも、部屋の影響は受け難い。

このことを意外! と受け止めるか、
反対にベンディングウェーヴの動作方式を理解すれば、むしろその通り! となるか。

私は2002年のインターナショナルオーディオショウで、
Unicornの音を聴いた時から、そうではないのか、と感じていた。

タイムロードのブースでは、後の壁から十分な距離をとってのセッティングだったから、
そのことを確かめることはできなかったが、
2008年、菅野先生のリスニングルームでTroubadour 40を聴いたときに、
このことは確信へと変った。

そして、知人宅でTroubadour 40のセッティングをあれこれやって、
その確信は深まっていった。

Date: 12月 28th, 2022
Cate: German Physiks

ジャーマン・フィジックス Troubadour 40のこと(その10)

多指向性だけでなく、無指向性のスピーカーは古くからある。
ただし昔からある無指向性のスピーカーは、
コーン型ユニットを上向きにして取りつけ、円錐状のディフューザーがコーン紙前面にある。

こうすることで一つのスピーカーユニットで、無指向性にしているわけで、
ビクターのGB1などに代表されるスピーカーユニットを複数個使う多指向性とは違う。

この手の無指向性スピーカーでは、
スピーカーユニットの中心と円錐状ディフューザーの中心は一致させる。
いわゆる同軸上に並ぶように配置されるが、
以前見たフランスのスピーカーメーカーは、
あえてスピーカーユニットとディフューザーの中心軸をずらして配置するというのがあった。

四十年ほど前のことだから記憶が曖昧だが、こうすることで、
この種の無指向性スピーカーの欠点を抑えられる、らしい。
それで特許を取得した、ともあった。

一般的なピストニックモーションのスピーカーユニットを使っての無指向性は、
ディフューザーがあってこそだったし、その意味では間接放射型の無指向性といえる。

直接放射型の無指向性スピーカーは、DDD型の原型であるウォルシュドライバーが最初のはずだ。
とはいえ、私が初めて聴くことができたオーム・アコースティックスのモデルは、
ウォルシュドライバーを保護するカバーが取りつけられていた。

この円筒状の保護カバーの内側には、部分的に吸音材が貼られていた、と記憶している。
指向特性をある程度コントロールしようとしていた。
いま思うと、あの保護カバーを外したオーム・アコースティックスの音は、
どんなだったのだろうか、である。

つまり、私が聴いた範囲では、直接放射型の無指向性スピーカーは、
ジャーマン・フィジックスのモデルが最初ということだ。

聴きたいと思っているものの、
MBLのスピーカーシステムを聴く機会は私にはなかった。

直接放射型の無指向性スピーカーについて語る上で、
MBLは外せない存在であるし、それ以上の興味ももっている。

Date: 12月 16th, 2022
Cate: German Physiks

ジャーマン・フィジックス Troubadour 40のこと(そのセッティング)

持っていないので私のところでは試していないが、
知人宅でTroubadour 40のセッティングで、あることを試してみた。

知人は磁石の反発力を利用したフローティング機構のSAPを持っていた。
Troubadour 40の下にSAPを置く。
つまりTroubadour 40をフローティングしたかっこうになる。

試す前から、そうとうな音の変化が得られるであろうことは、
以前、スピーカーシステムをコロ支持することでの音の変化を体験しているだけに、
容易に想像がついていた。

出てきた音の変化は、予想を超えていたところもあった。
結果は成功といってよかった。

なので私のところのTroubadour 40でも同じことを試すつもりである。
と同時に気になる製品がある。

ウェルフロートのバベルである。

試してみたいと思っても、そうとうに高価なモノだ。
しかもTroubadour 40用には二台必要となるから、さらに高価となる。

私はバベルを試したことはないし、実物をみてもいないが、
友人は、このバベルによる音の変化を録音の現場で体験している。

その音の変化を興奮気味に語ってくれたことからも、
そうとうな実力だということは伝わってきた。

Troubadour 40とウェルフロートのバベル。
ユニークな組合せとなるはずだ。

Date: 12月 13th, 2022
Cate: German Physiks

ジャーマン・フィジックス HRS130(とベストバイ・その2)

今日(12月13日)は、ステレオサウンド 225号の発売日。
いまではKindle Unlimitedで読めるので、公開されるまで待てばいい。
なのでKindle Unlimitedを利用するようになって、
書店でステレオサウンドを手にすることも、ほぼない。

でも今日だけは、ちょっととはいえ立読みしてきた。
ベストバイでジャーマン・フィジックスのHRS130がどれだけ星を獲得しているか、
それだけが知りたかったからだ。

三人が星を入れていた。
みな一つ星だった。

予想としていたとはいえ、やっぱりその程度の評価なのか……、と思うしかない。
B&Wの802 D4は、HRS130よりも高い評価になっている。
これは昨年の結果からもわかっていたことといえるし、納得もいく。

ここで考えるのは、ベストバイという企画が、
以前のように価格帯関係なしの選定であったら──、ということだ。

Date: 12月 12th, 2022
Cate: German Physiks

ジャーマン・フィジックス HRS130(とベストバイ・その1)

いま日本に輸入されているジャーマン・フィジックスの製品は、
HRS130、一機種のみだ。

HRS130の価格は、サテン仕上げが4,180,000円、ハイポリッシュ仕上げが4,620,000円、
カーボンファイバー仕上げが4,950,000円(いずれもペア、税込みの価格)。

HRS130とほぼ同価格のスピーカーシステムとして、B&Wの802 D4がある。
すでに2023年1月11日からの値上げが発表になっているが、
HRS130も来年になると値上りするかもしれないので、
ここでは現時点(2022年12月)の価格を挙げておく。

802 D4も仕上げによって価格は違う。
ローズナット、サテン・ホワイト、ウォールナットが4,114,000円、
グロス・ブラックが4,356,000円(いずれもペア、税込み)。

明日発売のステレオサウンド 225号のベストバイでB&Wの802 D4は高い評価だろう。
HRS130はベストバイになっているとは思うが、何人が星を入れているのか、
どのくらい集まっているのかは知らない。

802 D4ほどは星を獲得していないはずだ。

それに802 D4が試聴できる販売店の数はそこそこあろう。
HRS130が試聴できる販売店となると、いまのところないのではないだろうか。

期間限定の試聴会はいくつかのオーディオ店で行われていても、
そこに行けばいつでも聴けるというわけではない。

東京でも、HRS130を常設しているオーディオ店はないはずだ。

ブランドの知名度もかなり違う。
ジャーマン・フィジックスは別項で書いているように、
十年ほど日本での取扱いはなかったのだから、より違いは大きくなっている。

つまり日本での販売台数は802 D4が上のはずだ。
かなりの差があるように思う。

HRS130と802 D4、
どちらがベストバイなスピーカーシステムといえるのか。

Date: 12月 8th, 2022
Cate: German Physiks

ジャーマン・フィジックス Troubadour 40のこと(試してみたいこと)

ジャーマン・フィジックスのTroubadour 40を手に入れたら──、
以前からおもっていたことがある。

Troubadour 40はマイクロフォンとして使ったら、どういう結果になるのか。
いうまでもなくスピーカーとマイクロフォンは、
どちらもフレミングの法則からの動作である。

ならばTroubadour 40もマイクロフォンとして動作するであろう。
もちろんマイクロフォンとしてはダイアフラムが大きすぎるという問題があるかもしれない。

けれどTroubadour 40のチタン振動板は、メーカー発表値だと3gである。
まったくマイクロフォンとして機能しないということはないように思う。

そんなバカなことはやらなくてもいいじゃないか、とは思わないのは、
ベンディングウェーヴ型スピーカーの動作を理解するには、必要なことだと考えるからだ。

Date: 12月 6th, 2022
Cate: German Physiks

ジャーマン・フィジックス Troubadour 40のこと(Troubadour 80のこと)

Troubadour 40は、残念なことにすでに製造中止になっている。
German Physiksのウェブサイトをみると、
PQS100というモデルがある。さらにPQS100 Plusもある。

PQS100がTroubadour 40の後継機ということになるのだろうか。
後継機である、と言い切りたいところなのだが、少しばかり微妙なところも感じて、
なかなか言い切れないのだが、それでもTroubadour 40の代りになるモデルを手に入れたければ、
現時点ではPQS100かPQS100 Plusになる。

PQS100は外観上は、PQS100以上にTroubadour 40に近いけれど、
6インチ口径のウーファーを下向きに取りつけられたモデルだ。
このウーファーを使わないのであれば、
PQS100 PlusはかなりTroubadour 40に近くなる。

ジャーマン・フィジックスの現行ラインナップには、
このようにTroubadour 40に近いモデルは存在するが、
Troubadour 80の後継機、近いモデルはいまのところない。

Troubadour 80はTroubadour 40を上下にスタックしたモデルであり、
菅野先生はTroubadour 40をまず導入され、それからTroubadour 80にされている。

Troubadour 40かTroubadour 80か。
どちらがいいのか、おまえならばどちらをとるのか、と問われれば、
どちらでもいい、と答えてしまう。

私のところにやって来たのはTroubadour 40だが、
もしTroubadour 80がやって来ても、同じように喜んでいたはずだ。

ユッカ=ペッカ・サラステ/トロント交響楽団によるシベリウスのレンミンカイネン組曲。
この曲を菅野先生のリスニングルームでTroubadour 40で聴いた時の、
聴き手であるこちらの腕をさわさわと響きが、音の波が伝わってくるのが、
はっきりと感じられて、こういうデリカシーの再現性の高さは、
Troubadour 40の独擅場といえる。

ならばTroubadour 40ではないか、とまた問われそうなのだが、
Troubadour 80で菅野先生が聴かせてくれたベートーヴェンのピアノ協奏曲。
ケント・ナガノと児玉麻里による演奏における動的平衡の音の構築物、
それが聴き手の眼前に展開されていくさまは、Troubadour 80の独擅場と思っている。

なので、どちらがやって来たとしても、私はそれでよかったわけだ。
そして妄想はここでも頭をもたげてくる。

Troubadour 80において、下側のDDD型ユニットはカーボンで、
上側のDDD型ユニットはチタンという仕様にしたら、いったいどういう音が鳴ってくるのか。

Date: 11月 30th, 2022
Cate: 4343, JBL, 終のスピーカー

終のスピーカー(JBL 4343・その2)

私がステレオサウンド働きはじめた1982年1月、
そのころのリファレンススピーカーは、まだ、というか、
ぎりぎりとでもいおうか、JBLの4343だった。

ちょうど4344が出た頃でもあった。
だからといって、すぐにリファレンススピーカーが4343から4344に切り替ったわけでもなかった。
なので、ステレオサウンドの試聴室でも、4343を聴いた時間はたっぷりあった。

4343の後継機といわれる4344は、当然だけど、もっと長い時間、
さまざまなアンプやCDプレーヤー、アナログプレーヤー(カートリッジ)などで聴いている。

まぁ、でも4344は、別項で書いているように、
4343の改良モデル(後継機)というよりも、
18インチ・ウーファーの4345の15インチ版といえる。

私は4343の後継機は、JBLのラインナップにはない、と思っているし、
それでも一つ挙げるとしたら、4348なのだが、これは音的にはそうであっても、
デザイン的にはそうとはいえない(それでも4344よりはいいと思っている)。

そんなことがあったから、4343を終のスピーカーとして意識したことがなかったのか、
というと、そういうことではない。

何度も書いているように、コンディションのよい4343があったら欲しい。
そういう4343を、もし手に入れることができたら、手離すことなく、ずっと鳴らしていくことだろう。

ならば、4343も終のスピーカーとなるのではないか。
そうなのだが、自分でもうまく説明できないのだが、
それでも4343を、終のスピーカーとはいえない私がいる。

Date: 11月 29th, 2022
Cate: German Physiks

ジャーマン・フィジックス Troubadour 40のこと(その9)

ステレオサウンドしか読んでいない人にとっては、
ジャーマン・フィジックス、Troubadour 40(80)といえば、
菅野先生ということになるだろうが、
ラジオ技術では、高橋和正氏もかなり積極的に取り組まれていた。

2005年の測定記事もその一つで、
Troubadour 40で必要となるウーファーに関しても、いくつかを製作されていた。
MFBをかけたウーファーもあったと記憶している。

時間があれば大きな図書館に行き、このころのラジオ技術を読み返したい。

Date: 11月 29th, 2022
Cate: German Physiks

ジャーマン・フィジックス Troubadour 40のこと(その8)

少し話はそれるが、ラジオ技術に以前、Troubadour 40の測定データが載ったことがある。
ビクターの無響室での測定だった、と記憶している。

高橋和正氏の記事だったはずだ。
いつの号だったのか、そこまで正確には記憶していないが、
2005年発売のラジオ技術のはずである。

Troubadour 40のネットワークを通した状態とパスした状態、
それぞれの周波数特性、インピーダンス特性、群遅延特性が測定されていた(はずだ)。

手元に、そのラジオ技術がないので、記憶に頼っての記述になるが、
ネットワークを介さなかった場合のTroubadour 40の群遅延特性は見事というしかない。

インピーダンス特性は、150Hzあたりに大きなピークがあり、
6kHzあたりに小さなピークがある。

この6kHzでのピークはチタン振動板の定在波によるもの。
付属のネットワークは、このあたりの周波数特性のピークを補整している。
そのためインピーダンス特性は、ネットワークを介さない時とくらべると、
全体的にうねった感じになっている。

記憶違いが少しあるかもしれないが、そう大きくは違っていないはずだ。

Date: 11月 27th, 2022
Cate: 4343, JBL, 終のスピーカー

終のスピーカー(JBL 4343・その1)

「終のスピーカーがやって来る」を書き始めた頃、
これを読まれた方のなかには、終のスピーカーは何なのだろうか、
と予想された人も何人かいる。

JBLの4343ではないだろうか、と予想された人もいる。
4343については、これまでもかなりの数書いてきている。

4343は1976年に登場している。
4343の登場と同じくして、私はオーディオの世界に興味をもった。

私にとっての初めてのステレオサウンドは、41号。
4343が表紙の号だ。

当時、熊本の片田舎に住んでいた私でも、4343を聴く機会には比較的恵まれていた。
それだけ4343は売れていた。
当時としてはかなり高価なスピーカーシステムなのに、
それが聴ける、ということは、すごいことだ。

当時、熱心に読んでいたステレオサウンドにも、ほぼ毎号4343は登場していた、といえる。
4343が完璧なスピーカーではないことはわかっていても、それでも輝いて見えたし、
4343はスターであった、といまでもおもう。

4343が製造中止になってけっこうな時が経っても、4343を聴く機会はけっこうあった。
私と同じ1963年生れの友人のAさんとは、2006年に、二人の年齢を合せると4343だ、
そんなことをいっていたくらいである。

いまでも4343のコンディションのいいモノがあれば、欲しい。
置き場所がないけれど、それでも欲しい、とおもっている。

それでも、4343は私にとって終のスピーカーとなるだろうか(なっただろうか)、
そんなことをおもう。

Date: 11月 24th, 2022
Cate: German Physiks

ジャーマン・フィジックス Troubadour 40のこと(その7)

別項で「オーディオにおけるジャーナリズム(技術用語の乱れ)」を書いている。
そんなこまかいことどうでもいいじゃないか──、そう思っている人もいるだろう。

チョークコイルをチョークトランスと書いたり、
マッキントッシュのパワーアンプの出力に搭載されているオートフォーマーを、
出力トランスと書く人、
それもわざわざオートフォーマー(出力トランス)と書く人もいる。

さらにひどい人になると、整流コンデンサーと書いたりする。
他にも、こんな例はあるけれど、一つひとつ挙げることは、ここではしない。

けれど、こういった技術用語の乱れは、オーディオ機器の理解を妨げることにつながったりする。
無指向性スピーカーも、まさしくそうである。

ビクターのGB1のような多指向性スピーカーを無指向性と表記する。
GB1も無指向性、ジャーマン・フィジックスのスピーカーも無指向性となってしまう。

なんと乱暴な区分けだろうか。
ジャーマン・フィジックスのDDD型ユニットは、まさしくシームレスの水平方向の無指向性である。
GB1、同じ構成のスピーカーはそうてはない。

もともと指向性をもつスピーカーユニットを複数個、方向を変えているだけなのだから、
しかもそれぞれのユニットから放射された音は互いに干渉するのだから、
とうていシームレスとは呼べない。

なのに無指向性ということで、ジャーマン・フィジックスのDDD型ユニットも、
そういった多指向性のスピーカーとごっちゃに捉える人が実際にいる。

そして、したり顔で、無指向性スピーカーは──、といったりする。
見当違いのことを、無理解によることをいう。

Date: 11月 23rd, 2022
Cate: German Physiks

ジャーマン・フィジックス Troubadour 40のこと(その6)

ジャーマン・フィジックスのDDD型ユニットは、
水平方向の無指向性の放射特性をもつ。

そのため、設置が難しい、狭い部屋では無理で広い空間が必要──、
そんなことがいわれがちである。

けれど鳴らしてみると、そんなことはない。
まったくない、と断言できる。

無指向性のスピーカーは設置が難しい、と思われがちなのは、
ジャーマン・フィジックスのDDD型以前の、いわゆる無指向性スピーカーゆえといっていい。

代表的な例はビクターのGB1がある。
GB1は、球体型エンクロージュアに、13cm口径のウーファーを四発、
7cm口径のトゥイーターを七発収めたモノで、類似の製品は他社からも出ていて、
それらも無指向性スピーカーと呼ばれている。

けれどよく考えてみてほしい。
この種のスピーカーは、ほんとうに無指向性なのかどうかを。

菅野先生は以前から、これらのスピーカーは無指向性ではなく、
多指向性というふうに指摘されていた。

無指向性と多指向性。
似ているけれど、まるで別ものであること。
なので多指向性の印象で、真に無指向性のスピーカーを捉えないことが大切となる。

Date: 11月 22nd, 2022
Cate: German Physiks

ジャーマン・フィジックス Troubadour 40のこと(その5)

私がカーボン仕様のDDD型ユニットの音を聴いたのは、
HRS130の音をとおしてである。

なので、直接同じ条件で比較したわけではないので、
どちらがいいとは、いまのところなんともいえない。

それでもサウンドクリエイトで聴いた印象のみでいえば、
スピーカーユニットとしての完成度は高くなっているような感じがする。
リニアリティ(ハイレベル方向)は、あきらかにチタンよりもいい、といえる。

スピーカーとして、忠実な変換機としての性能はカーボンが上か。
そんな気がする。

それでも、私はサウンドクリエイトでHRS130を聴きながら、
あのころ無理してでも(といってもそうとうな無理なのだが)、
Troubadour 40を買っておくべきだった──、そんな後悔に似たおもいをいだいていた。

カーボンかチタンか。
そう訊かれたら、どう答えるか。
カーボンはいいですよ、と答えるだろう。

カーボンがいいですよ、とは答えることはないだろう。

どちらが好きか、と訊かれたら、
チタンだ、と即答する。