Archive for category オーディオ入門

Date: 1月 13th, 2016
Cate: オーディオ入門

オーディオ入門・考(レコードと音楽とオーディオと)

1974年冬にステレオサウンドから、「レコードと音楽とオーディオと」というムックが出た。
岡先生の書き下ろしによる本である。

この本のあとがきに、こう書いてある。
     *
《ステレオサウンド》とは創刊号からの長いおつきあいである。そのステレオサウンドの原田勲さんから、以前から、レコード愛好家のためのオーディオ入門みたいなものを一冊書け、といわれていた。《ステレオサウンド》のおかげで、ぼくはずいぶんオーディオの勉強をさせてもらったし、多分この雑誌のための仕事がなかったらそんな機会はなかったと思われるほど、たくさんのよいオーディオ機器をきく機会があったので、ぼくの体験はひじょうに広まったことも事実である。しかし、ぼくは依然としてオーディオの素人である。素人がもっともらしくオーディオ入門めいたことを書いたってろくなものができるわけはない。そんな考えで原田さんの注文にまるで自信がなかった。しかし、原田さんは一向にあきらめる気配がなく、時々そんなことをいう。そういうことが度重なると、なんだか自分にもそんな本ができそうな気がしてきて、ふとレコードとオーディオをむすびつけたテーマでならなにかやれそうに思ったのである。
     *
「レコードと音楽とオーディオと」は序章と十章からなる。
 序章:二枚のボレロ カラヤンとオーマンディ
 第一章:ハイ・ファイからオーディオへ
     レコードと音楽のかかわりあい
 第二章:エディスンから電気録音へ
     レコードその技術の歴史
 第三章:電気録音以後──ステレオまで
     レコードとその技術の歴史
 第四章:レコード再生のためのテクニック1
     プレイヤー・システム
 第五章:レコード再生のためのテクニック2
     アンプリファイヤー
 第六章:レコード再生のためのテクニック3
     スピーカー・システム
 間章:デシベル(dB)についての知識
 第七章:レコード再生のためのテクニック4
     音響再生の環境とリスニング・ルーム
 第八章:現代のレコード録音
 第九章:カッティング──プレス
     レコードができるまで
 第十章:再びレコードと音楽とオーディオと

「レコードと音楽とオーディオと」は岡先生でなければ書けない一冊である。
誰が書いたのかわからないような、
つまり誰が書いても同じような内容になってしまっているオーディオ入門書ではない。

Date: 12月 30th, 2015
Cate: オーディオ入門

オーディオ入門・考(その11)

瀬川先生がステレオサウンド 56号に書かれている組合せ。
KEFのスピーカーModel 303に、アンプはサンスイのAU-D607、
パイオニアのアナログプレーヤーにデンオンのカートリッジ。

バランスのとれた組合せであり、いい組合せである。
けれど、この良さが、オーディオのオーディオの入門用として最適の組合せかと思うか、
と問われれば、少し考え込む。

その10)にも書いたように、
なまじグレードアップをはかるよりも、この組合せのまま聴き続けたほうがいいようにも思う。
このことが、オーディオの入門用として最適といえるのか、となる。

オーディオの入門用とは、そこが開始点であり、
そこから先が延々と続くわけである。

オーディオの入門用として最適の組合せは、
その先にある道を歩んでいくための開始点であり、そこで満足してしまい、
先に行くことを思い直させるものであっては、最適な組合せとはいえない。

だからこそ瀬川先生は書かれている。
《こういう音にいつまでも安住することができないというのが、私の悲しいところだ》と。

オーディオ入門用の組合せは、使い手を、聴き手をそこに安住させてはいけないのではないか。

もちろん音楽を聴くのが苦痛になるようなひどい組合せは論外だ。
こんなのはオーディオの入門用とは呼べない。

かといってうまくまとまりすぎていても……、と思う。

こんなことを考えながら、
やはり瀬川先生のステレオサウンド 56号の組合せはオーディオの入門用として最適の組合せなのかも、と思う。

つまり56号の組合せで安住できる人は、音楽をいい音で聴きたいという気持をもっていても、
決してオーディオマニアではないと思うからだ。

オーディオマニアは安住することができずに、そこを離れていく。

安住できるか、できないのか。
この大事なことを使い手に教えてくれるという意味で、オーディオの入門用として最適の組合せといえる。

Date: 7月 17th, 2015
Cate: オーディオ入門

オーディオ入門・考(その10)

ステレオサウンド 56号の特集で、瀬川先生が書かれていたことを思い出す。
     *
 いまもしも、ふつうに音楽が好きで、レコードが好きで、好きなレコードが、程々の良い音で鳴ってくれればいい。というのであれば、ちょっと注意深くパーツを選び、組合わせれば、せいぜい二~三十万円で、十二分に美しい音が聴ける。最新の録音のレコードから、旧い名盤レコードまでを、歪の少ない澄んだ音質で満喫できる。たとえば、プレーヤーにパイオニアPL30L、カートリッジは(一例として)デンオンDL103D、アンプはサンスイAU-D607(Fのほうではない)、スピーカーはKEF303。これで、定価で計算しても288600円。この組合せで、きちんとセッティング・調整してごらんなさい。最近のオーディオ製品が、手頃な価格でいかに本格的な音を鳴らすかがわかる。
 なまじ中途半端に投資するよりも、こういうシンプルな組合せのほうが、よっぽど、音楽の本質をとらえた本筋の音がする。こういう装置で、レコードを聴き、心から満足感を味わうことのできる人は、何と幸福な人だろう。私自身が、ときたま、こういう簡素な装置で音楽を聴いて、何となくホッとすることがある。ただ、こういう音にいつまでも安住することができないというのが、私の悲しいところだ。この音で毎日心安らかにレコードを聴き続けるのは、ほんの少しものたりない。もう少し、音のひろがりや、オーケストラのスケール感が欲しい。あとほんの少し、キメ細かい音が聴こえて欲しい。それに、ピアノや打楽器の音に、もうちょっと鋭い切れ味があったらなおいいのに……。
     *
KEFのModel 303に、サンスイのAU-D607、
パイオニアのアナログプレーヤーにデンオンのカートリッジ。

56号は1980年の秋に出ている。
これを読んで、いい組合せだな、と思い、
これらの製品がもう少し早く市場に登場していれば、このままの通りのシステムにしただろうな……、と思っていた。

《音楽の本質をとらえた本筋の音》、
いいなぁ、と心底思ったことを、いまも憶えている。

このシステムならば、故障しない限りずいぶんと長く使い続けられただろう。
これにチューナーを買い足し、カセットデッキも揃える。
この組合せの二年後にはCDプレーヤーが登場した。

すぐさま、このシステムにぴったりくるようなCDプレーヤーはなかったけれど、
さらに二年ほど待てば、手頃なCDプレーヤーもあらわれてきた。

なまじグレードアップをはかるよりも、この組合せのまま聴き続けたほうがいいようにも思うし、
それが幸せな、家庭での音楽鑑賞だろう、とも思う。

この組合せは、音楽を聴くのは好きだけれども、
オーディオには凝りたくないという人に、まさにぴったりである。

ならば、この組合せは、オーディオの入門用として最適の組合せともいえるだろうか。

Date: 7月 10th, 2015
Cate: オーディオ入門

オーディオ入門・考(その9)

その1)で書いた《オーディオに興味を持ち始めたばかりの人に薦められるオーディオ機器の条件とは? 》。
ふと思い出したのは、1982年に登場したサウンドハウスというブランドのことだ。

いくつかのオーディオ販売店が協力してつくりあげたブランドだった。
旗振り役はダイナミックオーディオだったと記憶している。

プリメインアンプのSH-A20(¥208,000)、ペアとなるチューナーのSH-T10(¥100,000)、
アナログプレーヤーのSH-B19(¥190,000)が出ていた。

軌道にのればスピーカーシステムやカートリッジなども出していったのかもしれないが、
短命でいつの間にか消えていた、という感じだった。

販売店の人たちが、直接オーディオマニア(ユーザー)と接している。
その彼らが自分たちが売りたいモノをメーカーに開発製造してもらい、自分たちで売っていく。

サウンドハウスの広告を見て、うまくいったらおもしろそうだと思った。
けれどうまくいかなかったようだ。

もしサウンドハウスの製品が、他社製のアンプやアナログプレーヤーよりも売れてしまったら、
メーカーとしてはおもしろいわけがない。
サウンドハウスのアンプやアナログプレーヤーを製造しているメーカーであっても、
自分たちが企画し開発した製品よりも、
販売店の人たちが企画した製品が売れるということは、痛しかゆしだったのか。

記憶違いでなければプリメインアンプはマランツだった。
実際SH-A20のフロントパネルは、マランツ製であることがすぐにわかる。
SH-B19はマイクロだったはず。
チューナーはどこだったか……、忘れてしまった。

サウンドハウスが狙っていたユーザー層は、
いちばん厚い客層であったと思われる。
自分たちのブランドで出す以上に売れるモノにしたい。
よく売れれば利益も大きくなる。

そうであれば1982年当時、
プリメインアンプは20万円、アナログプレーヤーも20万円の価格帯ということになるのか。
この価格のプリメインアンプ、アナログプレーヤーを買う人たちは、
すでにオーディオマニアであり、マニアになって数年は経っている。

ここで、もし……と考える。
サウンドハウスが入門機としてのモノを真剣に考えていたら……、である。
どんなモノが登場してきたであろうか。

Date: 2月 19th, 2015
Cate: オーディオ入門

オーディオ入門・考(その8)

2010年1月にtwitterを始めたばかりのころ、
友人・知人数人に、やろうよ、とすすめたことがある。

その中のひとりはすぐにアカウントをつくったものの、ほとんどやらなかった。
おもしろそうだ、と言っていたから、なぜ? と聞くと、意外な答が返ってきた。

twitterの本が出たらやる、だった。
書店のパソコン関係のコーナーには、さまざまな種類の書籍が並んでいる。
その多くはマニュアル本といえるもので、彼が望んでいたのもtwitterのマニュアル本だった。

マニュアル世代という言葉がある。
だが彼は私よりも年上で、マニュアル世代ではない。
その彼がマニュアル本が出たらきちんとやる、という。

私もtwitterの機能をすべて理解して始めたわけではなかった。
最初はリツィートもよくわかっていなかった。
それでも使っていくうちにおぼえる(なれてくる)だろう、ということでやっていた。

彼は結局ほとんどやらずにやめてしまった。

入門書とはマニュアル本ではない。
思うのは、彼はマニュアル本を入門書として捉えていたのかだ。

Date: 2月 18th, 2015
Cate: オーディオ入門

オーディオ入門・考(その7)

つくづく、いいときにオーディオに関心をもったと実感している。
「五味オーディオ教室」のすぐあとに、ステレオサウンドと出逢った。
そこで黒田先生の文章と出逢えた。

別項「戻っていく感覚」で書いている黒田先生の文章だ。
岡先生が以前指摘されているように、黒田先生の文章には、
自問自答の意識が貫かれている。
だから読み手も自問自答を強いられる。

「風見鶏の示す道を」を読み、
ステレオサウンドに連載されている「ぼくは聴餓鬼道に落ちたい」「さらに聴きとるものとの対話を」を読めば、
何もわからずにオーディオに関心をもった中学生であっても、自問自答をしていっていた。

五味先生の文章もそうだった、黒田先生の文章もそうだ。
ふたりの文章から音楽の聴き方を学んだ、というより、
音楽に対する姿勢を学んだ、といえる。

だからこそ入門書は、自問自答を強いるものであってほしい。
残念なことに、書店に並んでいる「入門」とタイトルのつく本はそうではない。

Date: 2月 14th, 2015
Cate: オーディオ入門

オーディオ入門・考(その6)

どんなことであっても、最初は何もわからない、知らないところから始める。
入門書は、そんな初心者、入門者が知りたいこと、疑問に感じていることについての答を提示する。
それを読み、初心者、入門者は基本となる知識を身につける。

入門書をこう定義すれば、「五味オーディオ教室」は優れた入門書とはいえない。

「五味オーディオ教室」に書かれてあることも、ある種の答とはいえる。
けれど、その「答」は読み手に、問い掛けをうながすものである。
だから、私は「五味オーディオ教室」をひじょうにすぐれた入門書だと思っている。
少なくとも私にとって、これ以上のオーディオの入門書はない、と断言できる。

これはひとつの運の良さともいえる。
どんなに「五味オーディオ教室」がすぐれた入門書であっても、
この本が出たのは1976年、それ以前にオーディオに関心をもった人には遅すぎた、ということになるし、
「五味オーディオ教室」はいつまで売っていたのだろうか。

CDが登場した1982年には手に入ったのだろうか。
1980年代後半にはみかけなくなっていたから、それ以降オーディオに関心をもった人も読めなかった。

いつ読んでも素晴らしい本は素晴らしい。
けれど入門書としての性格をおびた本であれば、
できれば初心者、入門者のうちに読んでおきたい。

「五味オーディオ教室」との出逢いがなかったら、
こうやってブログを書くようなことはしていなかったかもしれないし、
書いていたとしても、ずいぶん違うことを書いていたであろう。

Date: 1月 24th, 2015
Cate: オーディオ入門

オーディオ入門・考(問と聞のあいだに)

入門の門(もんがまえ)に口がつくと問、耳がつくと聞になる。

ここでの口と耳はひとりの人物の口と耳ではないはず。
ある人の口から問いが発せられる。
それを別の誰かの耳が受けとめる(聞く)。

ならば問と聞のあいだにあるのは、音である。
門(もんがまえ)と音で、闇になる。

問・闇・聞なのか。

Date: 12月 20th, 2014
Cate: オーディオ入門

オーディオ入門・考(BRUTUSとGroove)

入門書、入門ということについて書いている。
偶然なのだが、マガジンハウスが出版しているBRUTUSの最新号の特集は、
読書入門。だった。

「読書入門」ではなく、「読書入門。」である。
BRUTUSを読む読者が、読書初心者、入門者であるはずはないわけで、
そういう読者に、あえて「読書入門。」をしている。
どういう構成と内容になっているのかは、実際に本を手に取って確認していただきたい。

Grooveという雑誌がある。
いまGroove別冊として「アナログレコードのある生活」という本が出ている。

この本を、編集部はアナログディスク再生の入門書として企画したのかどうかはわからないが、
この本は入門書としての役割を満たしていると感じた。

入門書について考えさせられる二冊である。

Date: 12月 15th, 2014
Cate: オーディオ入門

オーディオ入門・考(その5)

オーディオに限らず、入門書といえば軽く見られる傾向がある。
入門書には、オーディオの入門書ならば、オーディオという趣味に読み手を招き入れれば、
それでその入門書の役目は終ってしまうのか。

今回のステレオサウンドから出版された「アナログレコードはじめてBOOK」は、
アナログディスク再生の体験がない人(読み手)を、
アナログディスク再生に関心をもたせ、アナログプレーヤーを購入させ、
アナログディスク再生を行わせれば、それで十分ということなのだろうか。

入門書は読み捨てられていくのか。

私にとっての入門書「五味オーディオ教室」は、ボロボロになっているけれど、
いまも手元にある。すぐに手の届くところにおいている。

オーディオ関係の雑誌、書籍は引越しのたびに処分していった(処分せざるを得なかった)。
「五味オーディオ教室」よりも、専門的な技術的なことが書いてあった本も手離した。
それでも「五味オーディオ教室」はずっと持っている。
最初に買った本を、いまも持っている。
もう38年経っている。

おそらく最後まで持っている入門書である。

「五味オーディオ教室」の入門書としての役目は、
私についてはもうすでに終っている、といえる。
「五味オーディオ教室」で私はオーディオにどっぷりつかってしまっているのだから。

Date: 12月 13th, 2014
Cate: オーディオ入門

オーディオ入門・考(その4)

「五味オーディオ教室」はとうの昔に絶版になっている。
復刊されることもないであろう。
「五味オーディオ教室」にかわる存在の本は、ない。

「五味オーディオ教室」だけではない、あのころはいくつもの本があった。
瀬川先生の「虚構世界の狩人」「オーディオABC」もあった。
ひとつひとつ書いていかなけれど、それらの本を読むことで導かれ学んでいくことができた。

技術書もあった。
いまも持っている「レコードプレーヤ」(山本武夫 著・日本放送出版協会)は良書である。
技術書であり、数式も出てくる。そのことで拒否反応を示す人もいるだろうが、
この本に出てくる数式のすべてを理解できなくとも、「レコードプレーヤ」を最後まで読み通せば、
アナログディスク再生とはどういうものなのかが、きっと掴めるはずである。

最初読んだ時の理解はそれほどではなくとも、
実際にアナログディスク再生をやっていき、ふたたび「レコードプレーヤ」を手にし読みなおせば、
理解は拡がっているはずだし、そのことに気づけばつねに手元においておくことになる。

「レコードプレーヤ」は「アナログレコードはじめてBOOK」とは正反対の本である。
どちらがいい本なのかは、あえて書かない。
どちらが入門書として適しているのかについても、あえて書かない。

けれど、どちらの本をずっと手元に残していくだろうか。

Date: 11月 30th, 2014
Cate: オーディオ入門

オーディオ入門・考(その3)

私が中学生のころ、NHKの教育テレビで「オーディオ入門」という番組があった。
たしかメーカーのエンジニアが登場されていたように記憶している。
テキストも書店で売っていた。

この番組で放送される内容(知識)はすでに知っていた。
だから見る必要はなかったけれど、それでも毎回見ていた。

そんな私にとってのオーディオ入門のきっかけは、やはり五味先生の「五味オーディオ教室」である。
この「五味オーディオ教室」を何度も読み返した。
ボロボロになるまで読み返した。

「五味オーディオ教室」からはさまざまなことを学んだ。
「五味オーディオ教室」を記憶するほど読んでも、
オーディオの技術的な知識はほとんど得られない。
オーディオ機器の型番が多く登場する内容でもない。

それでも、これほどのオーディオ入門書は他にない、と断言できる。
それはオーディオにとって、もっとも大事なことを、この本から学べたからである。

Date: 11月 28th, 2014
Cate: オーディオ入門

オーディオ入門・考(その2)

先日、書店に行った際に「アナログレコードはじめてBOOK」というムックを手に取った。
少し前から書店に並んでいたから知ってはいた。

表紙の感じ、本のタイトルのつけ方からして、ムックを頻繁に出しいてる出版社が、
アナログディスクがブームになりつつあるのに便乗しての企画だと思い、手に取るところまではいかなかった。
けれど先日、ステレオサウンドから出ていることに気がついた。

意外だった。
こういう本のつくりを、ステレオサウンドがしているのが、である。
内容についてはあれこれ書きたくはない。

ただ「アナログレコードはじめてBOOk」という名称からいえるのは、
アナログディスク再生の初心者向けの本である、ということははっきりしている。

株式会社ステレオサウンドという出版社は、季刊誌ステレオサウンドというオーディオ雑誌を出している。
この「アナログレコードはじめてBOOK」は、季刊誌ステレオサウンドの別冊になるのだろうか。
だとしたら、季刊誌ステレオサウンドが考える入門書ということになるのか。
それとも株式会社ステレオサウンドが考える入門書なのか。

パラパラとめくりながら、そんなことを考えていた。
いまのステレオサウンドが考えるアナログディスク再生の入門書はこれなのか、と思うと、
オーディオ入門とは、いまではこういうこと・レベルなのか、ということになる。

この手の入門書でなければ売れないのだろうか、
それとも……。

それで、この項を書こうと思い立った。

Date: 11月 27th, 2014
Cate: オーディオ入門

オーディオ入門・考(その1)

598というスピーカーの存在」、「豊かになっているのか」、
それからフルレンジユニットのことについて書きながら、同時に考えているのは、
オーディオに興味を持ち始めたばかりの人に薦められるオーディオ機器の条件とは? である。

簡単にいってしまうと、入門用のオーディオ機器とは、ということになる。
とはいうものの、なにも入門用としてのオーディオ機器を目的としたモノが必要とは考えていない。
そういうことではなく、オーディオに興味を持ち始めたばかりの人に、
これを使ってもらい、オーディオの面白さ、その世界の広さを感じて学び取ってほしい、
そのために必要な条件を満たしたオーディオ機器という意味で、
入門用のオーディオ機器という表現を使った。

どんな条件が求められるのか。
まず高価でないことが挙げられる。
中には、最初からけっこうな金額をオーディオ機器にかけられる人もいるのは知っている。
けれどオーディオに興味を持ち始める時期、
10代からハタチくらいまでの若者がオーディオにかけられる金額はままならぬものである。

つまりはコスト・パフォーマンスが良いモノということになるのか。
価格からは考えられぬ物量を投じたオーディオ機器といえば、
1980年代なかばごろから過熱した598のスピーカーシステムの存在がある。

このころの598のスピーカーシステムが現在もラインナップされていたとして、
必要条件を満たして、相応しいかといえば、そうとはいえない。
なぜダメなのかについては、別項「598というスピーカーの存在」で書いていくのでここでは省略する。

スピーカーにはどういったことが求められ、必要となるのか。
アンプは? CDプレーヤーは?
それにこう数年売り上げを伸ばしているアナログディスクを再生するためのプレーヤーとカートリッジ、
これらについてはどうなのか。

もう初心者ではないから、そんなことには関心がない、という人もいる。
だがそんなことをいっていたら……、と思う。

それにオーディオの世界は、豊かであってほしい。
昔よりもずっと豊かであってほしい。
そのためにも、考えていかなければならないこと、忘れてはいけないことを書いていければ、と思っている。