Archive for category オーディオ入門

Date: 1月 24th, 2015
Cate: オーディオ入門

オーディオ入門・考(問と聞のあいだに)

入門の門(もんがまえ)に口がつくと問、耳がつくと聞になる。

ここでの口と耳はひとりの人物の口と耳ではないはず。
ある人の口から問いが発せられる。
それを別の誰かの耳が受けとめる(聞く)。

ならば問と聞のあいだにあるのは、音である。
門(もんがまえ)と音で、闇になる。

問・闇・聞なのか。

Date: 12月 20th, 2014
Cate: オーディオ入門

オーディオ入門・考(BRUTUSとGroove)

入門書、入門ということについて書いている。
偶然なのだが、マガジンハウスが出版しているBRUTUSの最新号の特集は、
読書入門。だった。

「読書入門」ではなく、「読書入門。」である。
BRUTUSを読む読者が、読書初心者、入門者であるはずはないわけで、
そういう読者に、あえて「読書入門。」をしている。
どういう構成と内容になっているのかは、実際に本を手に取って確認していただきたい。

Grooveという雑誌がある。
いまGroove別冊として「アナログレコードのある生活」という本が出ている。

この本を、編集部はアナログディスク再生の入門書として企画したのかどうかはわからないが、
この本は入門書としての役割を満たしていると感じた。

入門書について考えさせられる二冊である。

Date: 12月 15th, 2014
Cate: オーディオ入門

オーディオ入門・考(その5)

オーディオに限らず、入門書といえば軽く見られる傾向がある。
入門書には、オーディオの入門書ならば、オーディオという趣味に読み手を招き入れれば、
それでその入門書の役目は終ってしまうのか。

今回のステレオサウンドから出版された「アナログレコードはじめてBOOK」は、
アナログディスク再生の体験がない人(読み手)を、
アナログディスク再生に関心をもたせ、アナログプレーヤーを購入させ、
アナログディスク再生を行わせれば、それで十分ということなのだろうか。

入門書は読み捨てられていくのか。

私にとっての入門書「五味オーディオ教室」は、ボロボロになっているけれど、
いまも手元にある。すぐに手の届くところにおいている。

オーディオ関係の雑誌、書籍は引越しのたびに処分していった(処分せざるを得なかった)。
「五味オーディオ教室」よりも、専門的な技術的なことが書いてあった本も手離した。
それでも「五味オーディオ教室」はずっと持っている。
最初に買った本を、いまも持っている。
もう38年経っている。

おそらく最後まで持っている入門書である。

「五味オーディオ教室」の入門書としての役目は、
私についてはもうすでに終っている、といえる。
「五味オーディオ教室」で私はオーディオにどっぷりつかってしまっているのだから。

Date: 12月 13th, 2014
Cate: オーディオ入門

オーディオ入門・考(その4)

「五味オーディオ教室」はとうの昔に絶版になっている。
復刊されることもないであろう。
「五味オーディオ教室」にかわる存在の本は、ない。

「五味オーディオ教室」だけではない、あのころはいくつもの本があった。
瀬川先生の「虚構世界の狩人」「オーディオABC」もあった。
ひとつひとつ書いていかなけれど、それらの本を読むことで導かれ学んでいくことができた。

技術書もあった。
いまも持っている「レコードプレーヤ」(山本武夫 著・日本放送出版協会)は良書である。
技術書であり、数式も出てくる。そのことで拒否反応を示す人もいるだろうが、
この本に出てくる数式のすべてを理解できなくとも、「レコードプレーヤ」を最後まで読み通せば、
アナログディスク再生とはどういうものなのかが、きっと掴めるはずである。

最初読んだ時の理解はそれほどではなくとも、
実際にアナログディスク再生をやっていき、ふたたび「レコードプレーヤ」を手にし読みなおせば、
理解は拡がっているはずだし、そのことに気づけばつねに手元においておくことになる。

「レコードプレーヤ」は「アナログレコードはじめてBOOK」とは正反対の本である。
どちらがいい本なのかは、あえて書かない。
どちらが入門書として適しているのかについても、あえて書かない。

けれど、どちらの本をずっと手元に残していくだろうか。

Date: 11月 30th, 2014
Cate: オーディオ入門

オーディオ入門・考(その3)

私が中学生のころ、NHKの教育テレビで「オーディオ入門」という番組があった。
たしかメーカーのエンジニアが登場されていたように記憶している。
テキストも書店で売っていた。

この番組で放送される内容(知識)はすでに知っていた。
だから見る必要はなかったけれど、それでも毎回見ていた。

そんな私にとってのオーディオ入門のきっかけは、やはり五味先生の「五味オーディオ教室」である。
この「五味オーディオ教室」を何度も読み返した。
ボロボロになるまで読み返した。

「五味オーディオ教室」からはさまざまなことを学んだ。
「五味オーディオ教室」を記憶するほど読んでも、
オーディオの技術的な知識はほとんど得られない。
オーディオ機器の型番が多く登場する内容でもない。

それでも、これほどのオーディオ入門書は他にない、と断言できる。
それはオーディオにとって、もっとも大事なことを、この本から学べたからである。

Date: 11月 28th, 2014
Cate: オーディオ入門

オーディオ入門・考(その2)

先日、書店に行った際に「アナログレコードはじめてBOOK」というムックを手に取った。
少し前から書店に並んでいたから知ってはいた。

表紙の感じ、本のタイトルのつけ方からして、ムックを頻繁に出しいてる出版社が、
アナログディスクがブームになりつつあるのに便乗しての企画だと思い、手に取るところまではいかなかった。
けれど先日、ステレオサウンドから出ていることに気がついた。

意外だった。
こういう本のつくりを、ステレオサウンドがしているのが、である。
内容についてはあれこれ書きたくはない。

ただ「アナログレコードはじめてBOOk」という名称からいえるのは、
アナログディスク再生の初心者向けの本である、ということははっきりしている。

株式会社ステレオサウンドという出版社は、季刊誌ステレオサウンドというオーディオ雑誌を出している。
この「アナログレコードはじめてBOOK」は、季刊誌ステレオサウンドの別冊になるのだろうか。
だとしたら、季刊誌ステレオサウンドが考える入門書ということになるのか。
それとも株式会社ステレオサウンドが考える入門書なのか。

パラパラとめくりながら、そんなことを考えていた。
いまのステレオサウンドが考えるアナログディスク再生の入門書はこれなのか、と思うと、
オーディオ入門とは、いまではこういうこと・レベルなのか、ということになる。

この手の入門書でなければ売れないのだろうか、
それとも……。

それで、この項を書こうと思い立った。

Date: 11月 27th, 2014
Cate: オーディオ入門

オーディオ入門・考(その1)

598というスピーカーの存在」、「豊かになっているのか」、
それからフルレンジユニットのことについて書きながら、同時に考えているのは、
オーディオに興味を持ち始めたばかりの人に薦められるオーディオ機器の条件とは? である。

簡単にいってしまうと、入門用のオーディオ機器とは、ということになる。
とはいうものの、なにも入門用としてのオーディオ機器を目的としたモノが必要とは考えていない。
そういうことではなく、オーディオに興味を持ち始めたばかりの人に、
これを使ってもらい、オーディオの面白さ、その世界の広さを感じて学び取ってほしい、
そのために必要な条件を満たしたオーディオ機器という意味で、
入門用のオーディオ機器という表現を使った。

どんな条件が求められるのか。
まず高価でないことが挙げられる。
中には、最初からけっこうな金額をオーディオ機器にかけられる人もいるのは知っている。
けれどオーディオに興味を持ち始める時期、
10代からハタチくらいまでの若者がオーディオにかけられる金額はままならぬものである。

つまりはコスト・パフォーマンスが良いモノということになるのか。
価格からは考えられぬ物量を投じたオーディオ機器といえば、
1980年代なかばごろから過熱した598のスピーカーシステムの存在がある。

このころの598のスピーカーシステムが現在もラインナップされていたとして、
必要条件を満たして、相応しいかといえば、そうとはいえない。
なぜダメなのかについては、別項「598というスピーカーの存在」で書いていくのでここでは省略する。

スピーカーにはどういったことが求められ、必要となるのか。
アンプは? CDプレーヤーは?
それにこう数年売り上げを伸ばしているアナログディスクを再生するためのプレーヤーとカートリッジ、
これらについてはどうなのか。

もう初心者ではないから、そんなことには関心がない、という人もいる。
だがそんなことをいっていたら……、と思う。

それにオーディオの世界は、豊かであってほしい。
昔よりもずっと豊かであってほしい。
そのためにも、考えていかなければならないこと、忘れてはいけないことを書いていければ、と思っている。