オーディオ入門・考(その1)
「598というスピーカーの存在」、「豊かになっているのか」、
それからフルレンジユニットのことについて書きながら、同時に考えているのは、
オーディオに興味を持ち始めたばかりの人に薦められるオーディオ機器の条件とは? である。
簡単にいってしまうと、入門用のオーディオ機器とは、ということになる。
とはいうものの、なにも入門用としてのオーディオ機器を目的としたモノが必要とは考えていない。
そういうことではなく、オーディオに興味を持ち始めたばかりの人に、
これを使ってもらい、オーディオの面白さ、その世界の広さを感じて学び取ってほしい、
そのために必要な条件を満たしたオーディオ機器という意味で、
入門用のオーディオ機器という表現を使った。
どんな条件が求められるのか。
まず高価でないことが挙げられる。
中には、最初からけっこうな金額をオーディオ機器にかけられる人もいるのは知っている。
けれどオーディオに興味を持ち始める時期、
10代からハタチくらいまでの若者がオーディオにかけられる金額はままならぬものである。
つまりはコスト・パフォーマンスが良いモノということになるのか。
価格からは考えられぬ物量を投じたオーディオ機器といえば、
1980年代なかばごろから過熱した598のスピーカーシステムの存在がある。
このころの598のスピーカーシステムが現在もラインナップされていたとして、
必要条件を満たして、相応しいかといえば、そうとはいえない。
なぜダメなのかについては、別項「598というスピーカーの存在」で書いていくのでここでは省略する。
スピーカーにはどういったことが求められ、必要となるのか。
アンプは? CDプレーヤーは?
それにこう数年売り上げを伸ばしているアナログディスクを再生するためのプレーヤーとカートリッジ、
これらについてはどうなのか。
もう初心者ではないから、そんなことには関心がない、という人もいる。
だがそんなことをいっていたら……、と思う。
それにオーディオの世界は、豊かであってほしい。
昔よりもずっと豊かであってほしい。
そのためにも、考えていかなければならないこと、忘れてはいけないことを書いていければ、と思っている。