うつ・し、うつ・す(その10)
何かをどこかに移すには、
たとえば空の容器を使う。
空(うつ)であるから、水を運べる(移せる)わけで、
水を掬うことができる。
掬うは救うと無関係ではないと思っていることは、
以前「続々・ちいさな結論」で書いている。
救うにも掬うにも、くう(空)がある。
巣くうもすくう、だ。
とはいっても、巣くうは、掬うと救うとは関係していないようでいて、
どこかしら関係しているような気もする。
心のどこかに巣くうものがある。
それを掬う。
オーディオマニアにとっては、それは音であり音楽であろう。
巣くうものが掬われることで、救われることがあるように思ってしまうのは、
オーディオマニアの性(さが)なのか。