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Date: 8月 6th, 2011
Cate: デザイン

日米ヒーローの造形(その1)

先日、ふと気づいたことがある。
オーディオとは関係のないことなのだが、アメリカン・コミックスのヒーローと
日本の代表的なヒーロー(ウルトラマン、仮面ライダー、キカイダーなどなど)との造形に違いには、
能という伝統芸が日本にあることと関係しているのではないか、ということ。

アメリカン・コミックスの代表的な、もっとも有名なヒーローはスーパーマン。
スーパーマンのように素顔のまま活躍しているヒーローは多い。
仮面を被っていたとしてもバットマンがそうであるように、口元と目はこちら側から見えていて、
そこには表情の変化がはっきりと出ている。
顔全体をすっぽり覆ってしまったヒーローもいる。アイアンマンやスパイダーマン。
映画で観るかぎり、このふたりもたびたび素顔を出すシーンが多い。

そんなアメリカン・コミックスのヒーローとは対照的に日本のヒーロー、
ウルトラマン、仮面ライダーには仮面によって表情の変化は一切ない。
だからといって無表情かというと、そうともいえない。

能では仮面をつける。目の開口部も必要最小限に抑えられていて、演じる人の表情はほとんどつかめない。
だからといって表情の変化を能では表現していないのかというと、そんなことは、もちろんない。
わずか所作、陰影によって表情を生み出している。
それを観客は暗黙の了解のうちに読みとっていく。

そういう能と、日本のヒーローを完全に同一視できないところはあるだろうが、それでも無関係とも思えない。
仮面ライダーはマンガが原作である。マンガではコマの中にあるのは静止画だ。
カラーページであることもそうあるわけではない。
ほとんどがモノクロで描かれている──、これらの制約の中でキャラクターは無表情にとどまっているわけではない。

何がいいたいかというと、そんな寡黙の中に表情をもたせてきている日本なのに、
なぜか音、とくにスピーカーシステムは、ある時期まで饒舌で陰影についても排除していたことについてである。
なぜこれほど視覚と聴覚で、その世界が極端に違ってくるのか。