オーディオのデザイン、オーディオとデザイン(その2)
10代、20代のころは、とにかく物量を投入したモノに強い魅力を感じていた。
QUADもいい、と感じていた。
けれどそのころの私にとってのQUADに感じる良さは、メインのシステムとして見ていたわけではなく、
物量をおしみなく投入したメインのシステムを所有していたうえでの、
別のシステムとしてのQUADの存在が魅力であった。
DBシステムズのアンプのように、コンパクトで、外観にほとんど気を使わず、
コストを抑えるよう設計されたモノにも感じながらも、
もしDBシステムズのアンプを自分のモノとしたら、
外付けの電源を物量投入のものに改造したりする自分が見えてもいた。
物量が投入されていればいい、というわけではない。
それでいて凝縮されていなければならなかった。
そのころ妄想していたことがある。
私がオーディオに関心をもち始めた1976年には、
AGIのコントロールアンプ511とQUADのパワーアンプ405の組合せが話題になっていた。
そのときは、ただそうなんだぁ、という感じで記事を読んでいた。
数年が経ち、ステレオサウンドに入り、511、405に触れ、中を見ることができるようになると、
以前相性のいいといわれた、このふたつのアンプを、ひとつの筐体にまとめることはできないものだろうか、と。
具体的にいえば、511のシャーシーの中に、405の中身を追加する、ということだ。
スペース的に、決して不可能なことではない。
基板の配置やシールドには配慮が必要になるだろうが、おさめようと思えばできる気がしてくる。
実際にやりはしなかったけど、511の中に511と405を組み込めれば、
なかなか魅力的なプリメインアンプとなるわけだが、
そこで思ったことがある。
そうやって改造した511を、私はプリメインアンプとして認識できるのだろうか、と。
511のデザインを、プリメインアンプのデザインとして認識し直すことができるのだろうか。