ステレオサウンドの恒例特集となったベストバイ。
35号、43号、47号の三回は価格帯を設けずの選定だったのが、
51号から価格帯を分けての選択となり、そのまま続いている。
ベストバイだから、価格帯で分けるのは当然と考える人もいれば、
価格に関係ないからこそのベストバイと考える人もいよう。
個人的には、43号のベストバイ(価格帯は設けず)が、
いちばん充実していて読み応えもあった。
そういう私だから、価格帯で分けることに、いささか抵抗は感じていた。
たとえば10万円未満、10万円以上で価格帯を分けたとしよう。
99,800円の製品は、10万円未満の価格帯に入る。
100,000円とか108,000円だと10万円以上の価格帯になる。
10万円未満の価格帯には、
もっと低価格の製品がある。79,800円とか59,800円とか、
もっと安い価格のモノが選ばれることだってある。
10万円未満の価格帯で選ばれた製品でも、
99,800円の半分ほどの価格のモノもある。
10万円以上○○万円未満でも同じことは起る。
それぞれの価格帯で選ばれたもっとも安いモノと高いモノとの価格は、
意外にも開いている。
そしてわずか数千円の違いで、
上の価格帯になったり下の価格帯になったりする。
価格帯を分けることの矛盾のようなものが生じてくる。
価格帯を分けていなかったころのベストバイを面白いと感じていただけに、
価格帯を設けることが、
ベストバイをつまらなくしていった要因の一つだと考えている。
メリディアンの二つのD/Aコンバーター、
218(125,000円)とULTRA DAC(2,500,000円)について、
ベストバイということを考える場合、
価格帯分けを意識しているのか、意識していなかったのか、といえば、
意識していなかった。
価格の違いは強く意識していても、
だからといって、それが価格帯を考えることにつながるわけではない。