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Date: 12月 21st, 2024
Cate: 1年の終りに……

2024年をふりかえって(その14)

(その12)で、オーディオの才能のことについて、少しだけ触れた。
オーディオを趣味として楽しむ上で、オーディオの才能が必要なのかは、
必ずしもそうではないといえるところもある。

私がいいたいのは、オーディオの才能がない人は、
オーディオを辞めた方がいい──、ということではなく、
オーディオの才能がないのに、自分にはあると思い込んでいる人に、
本当にそうですか、と問いたいだけだ。

ただそれでも、オーディオの才能がないのに、
自分にはあると思い込んでいる人に、
そうなってしまった原因の全てがあるとは思っていない。

オーディオの世界ではなく、オーディオの業界に、
多くの原因があると思う。
オーディオ評論家、オーディオ雑誌が、読み手にそう思い込ませてきた面がない、と断言できる人がいるだろうか。

そう思い込ませることで、モノが売れていく側面はある。
そう思い込まされてきたことで、ずっとオーディオを趣味としてきたものの、
ある日、自分のオーディオの才能に疑問を抱くことが訪れる。

そんな時に、どういう態度をとれるのかも、またオーディオの才能に関係してこよう。

Date: 12月 20th, 2024
Cate:

人生よ ありがとう

12月のaudio wednesdayで、最後にかけた曲。
グラシェラ・スサーナの「人生よ ありがとう」をかけた。
日本語で歌っている方をかけた。

《誰が歌う あなたのために》、
グラシェラ・スサーナが、そう歌う。

グラシェラ・スサーナは、彼女の歌の聴き手のために歌う。
不特定多数の聴き手のことなど思っていないとしても、
オーディオを介して聴くことで、少なくとも私はそう錯覚できる。

グラシェラ・スサーナが歌う、私のために、とひとり思っているわけだが、
グラシェラ・スサーナのために、誰が歌うのか。

このことをずっと思い続けている。

Date: 12月 19th, 2024
Cate: 1年の終りに……

2024年をふりかえって(その13)

今秋、衝動買いしそうになったオーディオ機器が、一つある。
アダムオーディオのD3Vという、パワーアンプ内蔵のスピーカーシステムだ。

アダムオーディオのスピーカーだから、トゥイーターはAMT型。
ペアで四万数千円という価格帯のスピーカーであっても、AMT型を採用している。
これだけで、ちょっと欲しくなった。

外観は価格相応であっても、その内容は、この価格で買えるのか、と思うところもあったりする。

もう少し垢抜けた仕上がりだったら、間違いなく衝動買いしていたところ。

こんなことを書きながらも、輸入元のウェブサイトを眺めていると、
買ってみてもいいかなぁ、ぐらいに思ったりもする。

これ以上スピーカーを増やさない、と一応決めているので、
手を出すことはないだろうけど、
どこかで聴いてしまったら──、ということもあるかもしれない。

気になっているスピーカーである。

Date: 12月 18th, 2024
Cate: アナログディスク再生

私にとってアナログディスク再生とは(オイルのこと)

オイルと無縁ではいられないのが、アナログディスク再生である。
トーレンスの101 Limitedを使っていた時、
オイルはスクアランを使っていた。

深海鮫の肝油を磁気処理したというモノで、
トライアソシエイツという会社から、TR30という型番で発売されていた。

重宝していた。
けれどトライアソシエイツという会社がなくなり、手に入らなくなった。

代わりのオイルはなにかないものか、と検索すると、
スクアランオイルを製品化したものが、いくつか見つかる。

オーディオ用としても、スクアランオイルをベースにしたものが出ている。
でも、TR30とは、何か違うような感じがして、
手を出すまでには行かなかった。

とはいえ、なんらかのオイルが必要になってきたので、
再び検索してみて、一つ見つけた。
スクアランオイルなのだが、TR30に近い、
もしくはほとんど同じかもしれない、
そんな感じのものが見つかった。

昨日の、トーレンスのTD124に使ったのも、
このスクアランオイルである。

TR30よりも高価になっているけど、それでもいい。
このスクアランオイルで、大丈夫のようだ。

Date: 12月 17th, 2024
Cate: アナログディスク再生

私にとってアナログディスク再生とは(SME 3012-R Special・その8)

(その7)でふれているトーレンスのTD124のメンテナンスに行ってきた。
メンテナンスといってもやったことは、クリーニングと注油ぐらい。

これだけのことだが、回転はよりスムーズになっただけでなく、
立ち上りも早くなったし、スイッチを切った後の回転も長くなった。

特別なことはやっていない。
基本的なことをやってきただけだ。
それでも、何の問題もなく回転するTD124のプラッターを眺めていると、
メカニズムの基本に忠実に作られたプレーヤーだからこそ、
特別なことを施さなくとも、きちんと動作するようになる。

そのことを感じていた。

Date: 12月 16th, 2024
Cate: 1年の終りに……

2024年をふりかえって(その12)

オーディオの才能がある、とか、ない、とか。
オーディオの才能に恵まれている、とか、いない、とか。

そんなことが話題になることもあるだろうし、
一人、そのことで悩んだりすることもあるかもしれない。

その人に、オーディオの才能があるのか。
それを誰が判断するのか。

今年は、この「オーディオの才能」に関して、
いくつか考えることがあった。
具体的にどういうことなのかは触れないが、
ひとつ言えることは、オーディオの才能があるのかどうか、
それを考えたり悩んだりする前に、
オーディオの才能とは、いったい何なのか──、
そのことをしっかり考えることなく、あれこれ言ってどうなるものではない。

なんとなくだけど、自虐的なのか、
自分にはオーディオの才能がないですから──、
そんなことを言ってしまう人は、
オーディオの才能について深く考えたことがないはずだ。

Date: 12月 16th, 2024
Cate: audio wednesday

audio wednesday (next decade) – 2025年の予定

2025年のaudio wednesdayは、数人の方に選曲をお願いする。

12月のHさんの選曲による現代音楽は、好評だった。
私も面白く聴いていた。

いまのところ、二人の方に声をかけている。
やってもらえそうだから、楽しみにしている。

まずは好きな音楽をかけてもらうわけだが、
回を重ねていくにつれて、同じテーマでどういう選曲をされるのか、
それも、やってみたいと考えている。

Date: 12月 16th, 2024
Cate: plain sounding high thinking

オーディオはすでに消えてただ裸の音楽が鳴りはじめる(その20)

《オーディオはすでに消えてただ裸の音楽が鳴りはじめる》
audio wednesdayで再び音を鳴らせる一年を過ごして、
どうだっただろうか──、とふりかえる。

Date: 12月 15th, 2024
Cate: モニタースピーカー

モニタースピーカー論(家庭用スピーカーとは・その5)

アルテックのModel 19、JBLのL200を、この項で挙げている。
もう一機種、挙げておきたいスピーカーがある。

上の二機種と同じ時代のモノで、エレクロトボイスのInterface:Dである。

三機種ともスマートなプロポーションのスピーカーシステムではない。
ずんぐりむっくりのプロポーションである。

別項で、国産のずんぐりむっくりのプリメインアンプについて、
否定的なことを書いているが、
スピーカーに関してはずんぐりむっくりのプロポーションは、
むしろ好ましく感じられる。

ずんぐりむっくりであれば、全ていいというわけではなく、
上に挙げている三機種に関しては、いいプロポーションだと思う。

Interface:Dだが、写真でしか知らない。
現行製品だったころも、その後、中古になってからでも、
一度も見たことがない。

あまり売れてないのであれば、中古としても出てくることは少なくなる。
日本でどのくらい売れたのかは知らないが、
多くは売れていないであろう。

それでもいつか自分の手で鳴らしてみたいスピーカーの一つだ。

Date: 12月 14th, 2024
Cate: ハイエンドオーディオ

ハイエンドオーディオ考(その15)

例えば直熱三極管のシングルアンプ。
一輪挿しの世界ともいえる、この種のアンプと高能率のスピーカーとの組合せ。

ディープエンドオーディオの世界といえる。

私が中高生のころ熱心に読んでいたステレオサウンド。
その頃の連載に、スーパーマニアがあった。

そこに登場している人の何人かは、まさにそういう人であった。
若い頃からオーディオに熱中して、さまざまななことを試みて、
直熱三極管のシングルアンプの世界にたどり着く。

ハイエンドオーディオからディープエンドオーディオへのシフト。
シフトしていく人もいれば、そうでない人もいる。

どちらかどうとか、いえることではない。
いえるのは、最初からディープエンドオーディオはない、ということだ。

Date: 12月 14th, 2024
Cate: ハイエンドオーディオ

ハイエンドオーディオ考(その14)

ハイエンドオーディオの対義語は、いったいなんだろうか。
チープオーディオ、プアオーディオという人もけっこういるようだ。

現在、なんとなくハイエンドオーディオと呼ばれているモノは、
確かに非常に高価だったりする。

誰が買うんだろう? と思ったりもするけれど、
買う人がいるからこそ、メーカーは出してくる。

そういう状況だから、
高価の反対という意味でチープ(プア)オーディオなのだろう。

ハイ(high)の対義語は、ディープ(deep)ではないだろうか、
オーディオの場合では。

ハイ・フィデリティに対して、ディープ・フィデリティ。
こんなことも考えたりしているわけだが、
高みを目指すのもいいが、オーディオはそればかりではない。
深みを目指していく、追求していくのもオーディオである。

ハイエンドオーディオ、
ディープエンドオーディオ。

高みの行き着く先、深みの行き着く先。
どちらを目指すのか。

Date: 12月 13th, 2024
Cate: audio wednesday

audio wednesday (next decade) –第十二夜(JBL 4343 + Meridian Ultra DAC、ふたたび)

1月8日のaudio wednesdayでは、JBLの4343をふたたび鳴らすわけだが、
アンプはまだ決まっていない。

D/Aコンバーターは、11月の会と同じくメリディアンのUltra DACである。

以前、別項で書いているように、
Ultra DACの、私の中での位置づけはEMTの930stである。

だからこそ今回もUltra DACとなる。

930stの上には927Dstがあった。
930stも、優れた音のプレーヤーなのだが、
927Dstを一度でも聴いてしまうと、その違いに驚くだけでなく、
なんとしてでも927Dstを、という気持になってしまう。

930stの上には、トーレンスのリファレンスもあった。
これらを聴いてしまうと、930stが少しばかり色褪せてしまう。

だから20代の私は、かなり無理をして927Dstに行ってしまった。

そうして、いま思うのは、930stの良さである。
その良さに共通するものをUltra DACにも感じる。

Ultra DACも高価なD/Aコンバーターだが、
その倍どころか、十倍以上するD/Aコンバーターも登場してきている。

Ultra DACよりも高性能なD/Aコンバーターは、ある。
それでも930st的D/Aコンバーターとなると、
私にとっては、いまのところUltra DACのみである。

瀬川先生は長いこと930stを使われていた。
だから思うことがある。

瀬川先生がUltra DACを聴かれたら──と。
その答を探っていくためにも、今回もUltra DACが必要になる。

Date: 12月 12th, 2024
Cate: 1年の終りに……

2024年をふりかえって(その11)

今日はステレオサウンドの発売日。
体調を少し崩して、一日、静養していた。
いま住んでいる近所に書店はないけれど、
Kindle Unlimitedで、発売日に一歩も出かけるとかなく読める。
便利な時代になったことを、こういう時に実感する。
最新号の特集は、恒例の企画。

今号を読んでいて、非常に気になったのが、
ウエスギ・アンプのU·BROS333OTLだ。

管球式のOTLアンプは理想的なアンプとは思っていないが、
どこか特別なアンプであり、管球式OTLと聞けば、
どんな音だろう、と興味がわいてくる。

ステレオサウンドにいたころ、カウンターポイントのSA4、
フッターマンのシリーズが現行機種だった。

フッターマンもカウンターポイント、どちらもじっくり聴いている。
SA4は、試聴室常備に近かったので、聴く機会は多かった。

カウンターポイント、フッターマンともに出力管は6LF6。
いまもフッターマンのOTL4は欲しい、というか、
もう一度、その音を聴いてみたいのだが、
いざ聴いて気に入って手に入れたとして、6LF6をどうするのか。

カウンターポイントもフッターマンも、多数並列接続で使用している。
マッチングペアで、多数の6LF6をストックすることの大変さを思うと、
うーん……、という気持にもなる。

U·BROS333OTLは6C33Bを使っている。
この球だって、マッチングペアのことを考えると……、とはならないのは、
ウエスギ・アンプだからだ。

そうなると、俄然聴いてみたいと思う。
それもジャーマン・フィジックスのスピーカーを鳴らした音を聴いてみたい。

とても良く合う予感がしてならない。

Date: 12月 11th, 2024
Cate: スピーカーとのつきあい

BOSE 901というスピーカーのこと(その5)

スピーカーであれアンプであれ、
オーディオマニアが、その音をどこかで聴いて、あれこれその音について語る。

オーディオ店であったり、オーディオショウであったり、
オーディオマニアのリスニングルームであったりする。

そうやって聴けた音は、そのオーディオ機器の本来の音なのか、
どの程度で鳴っていたのか──、
そういったことを無視して、あれこれ、どんなに多くを語ったとしても、
私は、ほぼ無意味と受け止めている。

そうでなければBOSEの901の評価はもっともっと高いはずだ。
けれど実際は、901に関心を持っていた人でも、
今回のaudio wednesdayで、初めて聴けました、となる。

このことに関しては、言いたいことけっこうある。
まずオーディオ店、その店員について、言いたいことはある。
それからオーディオ評論家に対しても、
オーディオ雑誌の編集者に対しても、である。

そのことを書いていったら、キリがないほど書けるけれど、
だからと言って、いまさら書いたところで……、というおもいのほうが強い。

そのことは措くとして、今回の901 Series Vの音は美しかった。
こんなに美しくなるのか、と鳴らしている本人が、
少しばかり驚くほどだった。

別項で触れて青木涼子の「Harakiri」も美しかった。
でも、個人的には、「Harakiri」の後にかけた
グラシェラ・スサーナの「人生よ ありがとう」の美しさに、さらに驚いていた。

聴いていて情景が浮かんでいた。
いままでになかった情景だった。
その情景の美しさに、驚いていたのかもしれない。

Date: 12月 10th, 2024
Cate: audio wednesday

audio wednesday (next decade) –第十二夜(JBL 4343、ふたたび)

告知しているとおり、
来年1月のaudio wednesdayでは、JBLの4343を鳴らす。

いま考えているのは、一曲目のこと。
11月の4343の時には、コリン・デイヴィス指揮のストラヴィンスキーの「春の祭典」をかけた。

1月の会では、また「春の祭典」でも面白いと思いながらも、
2025年の最初の曲でもあるから、考えている。

1月に最初にかける曲は、2025年の一曲目でもある。
12月の最後にかけるきは、2025年をしめる曲でもある。

この二曲の間に、さまざまな曲をかける。
同じ曲をかけることもある。
今年の12月の会のように、選曲を誰かに任せることもある。

そうやって、いろんな曲を、来年もかけることになる。
2025年は、何曲かかけることになるのか。

そんなことを思いながら、一曲目を考えている。