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Date: 9月 19th, 2016
Cate: デザイン

TDK MA-Rというデザイン(その9)

TDKのMA-Rには、亜鉛ダイキャストのハーフが使われている。
当時、MA-Rが最初に金属ダイキャストのハーフを採用したカセットテープだと思っていた。

けれどMA-Rの一年前に、テクニクスがダイキャストのハーフを採用している。
テクニクスの広告には材質にはふれていないが、
テープのハーフに磁性体を使うわけはないから、アルミか亜鉛のはずだ。

テクニクスが金属ダイキャストのハーフを採用したのは、三種のテストテープにおいてである。
RT048CFが周波数特性/角度補正用のクロームテープで、25,000円(桁は間違っていない)。
RT048Wがテープ速度/ワウ・フラッター試験用で、17,000円。
RT048NFが周波数特性/角度補正用のノーマルテープで、25,000円。

テストテープということもあって、プラスチック製の一般的なカセットケースではなく、
厚手のハードカバーの書籍を思わせるケースとなっている。

テクニクスのRT048シリーズはあくまでもテストテープであるから、
いわゆる生テープと呼ばれる録音可能なテープとは違うから、
生テープで最初に金属ダイキャストのハーフを採用したのはTDKのMA-Rであり、
RT048シリーズのことを知っている人もいまでは少ない、と思う。

RT048の実物は見たことがない。
カラー写真で見たきりだ。
ダイキャストのハーフの写真がなければ、
RT048の写真を見ただけで、ダイキャストのハーフであることに気づく人は少ないはずだ。

よく見れば、質感が通常とは違うことは気づいて、金属ダイキャストであるとは思わない。
RT048とMA-Rの違いを、写真でもいいからじっくりと比較してほしい。

MA-Rというデザインが、はっきりとしてくるからだ。

Date: 12月 6th, 2015
Cate: デザイン

TDK MA-Rというデザイン(その8)

TDKのメタルテープMA-Rのデザインをじっくり見ていると、
オープンリールテープを反転したようにも思えてくる。

オープンリールテープは、アルミ製のリールに巻かれている。
リールには、テープの残量が視覚的に捉えられるようにスリットがいくつか開けられている。
カセットテープにも中央に小窓があって、テープの残量がある程度は視覚的につかめるようになっている。

けれどMA-Rはテープ全体が見えている。
小窓やスリットはない、透明なプラスチックがハーフになっているからだ。

テープを囲うように亜鉛ダイキャストのフレームはデザインされている。
ちょうどオープンリールのハーフを反転させたようなデザインの中で、
精巧なオープンリールテープのミニチュアがまわっているような印象がある。

ミニチュアなのに、
というよりも、ミニチュアだからこそオープンリールテープよりも精巧につくられているような気がする。
だからこそ、MA-Rを手にすると、どこかナグラSNNを思わせる。
少なくとも私は、MA-Rを当時手にしたときにそう感じていた。

SNNは外形寸法W14.7×H2.6×D10.0cm、重量0.574kg(テープ、電池込みの重量である)の、
手のひらにのる超小型のオープンリールデッキである。
1970年代後半SNNは69万円していた。

録音時間は9.5cm/secで27分、4.75cm/secで1時間48分である。
4.75cmといえば、カセットテープのテープ速度(4.8cm/secもしくは4.76cm/sec)と同じである。

当時SNNに憧れていたオーディオマニアは少なからずいたはずだ。
私もそのひとりだった。

69万円も出して、何を録音するのか。
そんなことを冷静に考えると、バカらしい買物ということになるのはわかっていても、
憧れとはそんな冷静に考えることとは無関係のところにあるものだ。

TDKのMA-Rを開発・デザインした東芝のスタッフの人の中に、
ナグラのSNNに憧れていた人がいたのではないのか──、そんなことも思ったりする。

Date: 12月 20th, 2014
Cate: ジャーナリズム, デザイン

TDK MA-Rというデザイン(ステレオ時代という本とその記事・その2)

TDL MA-Rで、Googleで検索すると、かなりのページがヒットする。
私が書いた「TDK MA-Rというデザイン」も2ページ目で表示される。

ステレオ時代のVol.3掲載のTDK MA-R開発ストーリーを担当した編集者は、
MA-Rのことについて、インターネットを使って調べたりしなかったのか、と思う。
一時間もあれば、Googleで検索してヒットしたページを見ていったとして、
検索結果の2ページ目に表示される私のブログを見て、そこにある川崎先生のブログへのリンクをクリックすれば、
MA-Rについての、いままで知られてなかったことにたどりつく。

ほとんど労力を必要としないことではないか。
キーボードをほんの少し叩き、マウスを動かしてクリックしていくだけのことである。
それすらもせずに、ただインタヴューしたことだけを記事にしたのが、
今回のTDK MA-R開発ストーリーではないのか。

川崎先生がMA-Rについて書かれたブログが、つい最近のことであったら、まだわかる。
ステレオ時代のVol.3はつい最近書店に並んだ本である。
担当編集者がMA-Rのことを調べる気があったなら、
川崎先生のブログを見つけられなかったということは考えにくい。

いい記事をつくろうという気がないのか、とも思ってしまう。
なぜ、いい記事にしようとしないのか。
その理由を考えてしまう。

結局のところ、商業誌であることを優先してしまっているからだ、ということになってしまう。

Date: 12月 19th, 2014
Cate: ジャーナリズム, デザイン

TDK MA-Rというデザイン(ステレオ時代という本とその記事・その1)

ステレオ時代という本がある。
今、最新号のVol.3が書店に並んでいる。

ステレオ時代の存在は知っていたけれど、手にとろうとは思っていなかった。
どういう内容の本なのかわかっているからだけど、
表紙に、TDK MA-R開発ストーリー、とある。
だから手にとった。

Vol.1とVol.2を読んでいたから、記事についてはおおよその想像はついていた。
想像した通りの内容だった。

そして、やっぱり、と思った。

TDK MA-R開発ストーリーの記事中には、東芝のこと、オーレックスのことがまったく語られてなかったからだ。
すべてTDKによる開発である、と記事は伝えていた。

けれど、そうではないことは「TDK MA-Rというデザイン」でふれた。
川崎先生のブログへのリンクもしている。

川崎先生の「K7の最高機種デザインはAurexデザインだった」は、9月13日に公開されている。

Date: 9月 30th, 2014
Cate: デザイン

TDK MA-Rというデザイン(その7)

TDKのMA-Rのデザインには、二度驚いている。
一度目は登場した時であり、二度目はCDが登場してしばらくしてからだった。

MA-R以前のカセットテープの色は、黒っぽいものばかりだった。
明るい色のカセットテープはなかった、と記憶している。

MA-R以前は、カセットテープの色について考えることはなかった。
MA-Rが登場し、CDが登場してから、やっと考えるようになった。

MA-Rの透明のケースと、一見するとアルミと思える亜鉛ダイキャストの採用は、
CDを象徴しているともいえる組合せである。
CDのピット面はレザー光を反射するためにアルミが使われている。
その上にポリカーボネイトの保護層がある。
ここは当然ながら、透明である。

そこに気づけば、MA-R以前のカセットテープの色は、LPの色を元にしているのだろう、と思えてくる。

CDが成功したのは、LPとまったく違う見た目だったこともあるはずだ。
誰が見ても、LPとCDははっきりと違うことがわかる。
ところがSACDにしてもDVD Audioにしても、ディスクの見た目はCDとどれだけ違うだろうか。
SACDにはSACDのマークが、DVD AudioにはDVD Audioのマークが入っている。
それで見分けはつく、というのだろうが、
そんなところまで見ている人は、オーディオに関心のある人たちであり、
CDのようにオーディオに関心のない人でもひと目でわかるものではなかった。

マークに頼らなくとも、誰が見てもCDとは違う新しいメディアということを示すことができていたら、
SACDの存在は、ずいぶん違っていたはずだ。

SACDにはデザイナーは関与していなかったのだろう。

Date: 9月 21st, 2014
Cate: デザイン

TDK MA-Rというデザイン(その6)

MA-Rはツメにあたる部分が赤くなっていて、スライドするようになっていた。
ツメを折るではなく、スライドさせれば録音はできなくなるし、元に戻せば録音可能になる。

細かなことではあるが、MA-Rの、この機構も見事だと思ったし、細部も疎かにしていない。
しかも赤くなってると書いたが、赤はC60テープで、C46は青、C90は緑に色分けされていた。

まさにReference Standard Mechanismといえよう。
川崎先生は、MA-Rがカセットテープの最終形態だといわれている。
そう思う人は多いだろう。

MA-R以前にこんなカセットテープはなかった。
MA-R以後も同じだ、MA-Rに匹敵するカセットテープは出てこなかった。

いまカセットテープ、カセットデッキに凝ることがあれば、MA-Rを使いたい。
なんとか探し出してきてでも、このテープを使いたい。

メタルテープが登場したときは高校生だった。
メタルテープ対応デッキは買えなかった。
ステレオサウンドで働くようになってからは買えたけれど、カセットデッキ、テープへの関心は薄れていた。

だから聴いたことはあるが、個人的にメタルテープは使ったことがない。
そんな私がいまごろになってMA-Rについて項をたてて書いているのは、
9月13日の川崎先生のブログ『K7の最高機種デザインはAurexデザインだった』を読んだからである。

そこにMA-Rの写真があった。

Date: 9月 21st, 2014
Cate: デザイン

TDK MA-Rというデザイン(その5)

TDKのMA-Rは、パイオニアのCT-A1、アイワのAD-F55Mの広告以外にも、
ステレオサウンド 55号ではビクターのKD-A66、ティアックのC3の広告にも登場した。
56号ではアカイのGX-F90、59号ではアカイのGX-F95、ティアックのV3RX、V5RXの広告でもだ

ステレオサウンドは姉妹誌にテープサウンドという隔月刊誌があった。
そのせいだろう、ステレオサウンドにはカセットデッキの広告はそんなに多くはなかった。
カセットデッキの広告といえばテープサウンド、FM誌ということになる。

それでもカセットデッキの広告にMA-Rがよく登場していた印象が、いまも残っている。
広告だけでなく、カタログにもMA-Rは使われていった。
トリオ、サンスイもMA-Rを使っていた。

MA-Rが装着されていれば、写真を見ると同時にメタルテープ対応のデッキだと読者に伝わる。
MA-Rは、どんなデッキであってもMA-Rであることがすぐにわかる。モノクロの小さな写真であってもだ。

こんなカセットテープはそれまではなかったし、MA-R以後も登場していない。
TDKはMA-Rのテープ走行機構をRSメカニズムと呼んでいた。

RSとはReference Standardの略だ。

RSメカニズムは使い勝手においても配慮されていた。
カセットテープにはツメがある。
このツメを折れば、そのカセットテープには録音できない。
誤録音を防ぐためであるわけだが、一度ツメを折ったカセットテープに録音するにはツメのあったところにセロハンテープを貼る。
これが私は嫌いだった。

Date: 9月 21st, 2014
Cate: デザイン

TDK MA-Rというデザイン(その4)

カセットテープをバラしてみたことがある人なら、中に薄いシートが入っていることを知っている。
緩衝材のようなシートである。

このシートを試しに外してカセットテープをデッキに装着して、再生ボタンを押してみる。
再生ボタンでなくてもいい、テープ走行をさせてみる。
スピーカーシステムから音は出さない方がいい。

テープの走行ノイズをチェックする。
内部のシートの有無で、走行ノイズに変化が生じることを確認できる。

薄いシートだけれど、なくてはならないシートである。

TDKのMA-Rは透明のハーフである。
MA-Rの内部にも薄いシートは入っている。
つまりTDKは、透明なカセットテープを実現するために、透明なシートも実現している。

MA-Rの広告(写真)を初めて見たとき、内部のシートがなくなっているのか、と思った。
すぐに違うことがわかった。
広告にはMA-Rの分解図もあった。そこにはシートが描かれている。

MA-Rの驚きは、こんなところにもあった。
その驚きは、しばらくすると、TDKがMA-Rにかけた意気込みを感じさせてくれるようになっていった。
またTDKというテープメーカーへの信頼へともなっていった。

Date: 9月 14th, 2014
Cate: デザイン

TDK MA-Rというデザイン(その3)

ステレオサウンド 54号でTDKのMA-Rをセットした広告を出したパイオニアは、
57号では自社ブランドのカセットテープを発売していたこともあって、MA-Rではなくなっている。

54号と57号でのCT-A1の広告で使われている写真はまたく同じアングルによるもので、
違いはCT-A1にセットされているカセットテープの違いだけ。
しかもCT-A1は、通常のカセットデッキとは違い、カセットテープをユーザーが直に装着するようになっている。

パイオニアがフルオープンローディング方式と呼ぶ、この機構にはだから開閉ボタンがない。
垂直にカセットテープを装着するデッキでは、カセットテープの収納ケースの同じようになっている。
開閉ボタン押せば、フタが開く。下部を支点にして上部が開くから斜めにカセットテープを挿入する。
そしてこのフタを閉じればいい。

このフタがあることで通常のカセットデッキでは、
装着しているカセットテープの全面が見えるわけではない。
多少なりともカセットテープの一部が隠れてしまう。

CT-A1では、そんなフタが存在しないから、カセットテープを視覚的に隠すものは存在しない。
こういうカセットデッキはCT-A1と同じパイオニアのCT710、CT910、ダイヤトーンのM-T01ぐらいか。

そういうカセットデッキであるCT-A1だから、ステレオサウンド 54号と57号の広告の写真を比較すると、
カセットテープのデザインの重要性をはっきりと見る者に意識させる。

Date: 9月 13th, 2014
Cate: デザイン

TDK MA-Rというデザイン(その2)

カセットテープ、カセットデッキの最盛期は、メタルテープが登場し、
いくつかのメーカーからドルビー以外のノイズリダクションが搭載されるようになった1980年あたりだろう。

このころ各社からカセットテープが発売されていた。
1980年版のHI-FI STEREO GUIDEには、アイワ、アカイ、オーレックス、クラリオン、デンオン、ダイヤトーン、
フジフイルム、ジュエルトーン、Lo-D、ラックス、マクセル、ナガオカ、ナカミチ、オットー、サンヨー、シャープ、
ソニー、TDK、テクニクス、ビクター、アンペックス、BASF、フィリップス、スコッチのブランドが並んでいる。

いくつかのブランドはOEMであるが、これらのブランドが数種類のカセットテープを発売していたし、
カセットデッキを製造しているブランドもある。

そういったブランドは、当然だが、自社のカセットデッキの広告、カタログには、
同じブランドのカセットテープを使う。

カセットデッキの広告、カタログに掲載されている製品写真は、
多くがカセットテープがセットされているものである。
同ブランドのカセットテープがあるのに、
他社製のカセットテープをセットして広告に使うことは、それまでなかった。

TDKのMA-Rの広告がステレオサウンドに掲載されたのが51号、
九ヵ月後の54号のパイオニアとアイワの広告の写真には、MA-Rがセットされたカセットデッキがある。
パイオニアがCT-A1、アイワはAD-F55Mである。

パイオニアは1981年ごろから自社ブランドのカセットテープを発売し始めるから、
54号(1980年春)の時点では他社製のカセットテープを使うのもわかる。
けれどアイワはメタルテープの発売は1981年ごろからだから、
54号の広告時点では自社ブランドのメタルテープを持たなかったとはいえ、他社製のテープを使っている。
それもひと目でTDKのMA-Rとわかるカセットテープを使っている。

Date: 9月 13th, 2014
Cate: デザイン

TDK MA-Rというデザイン(その1)

ステレオサウンド 51号に東京電気化学工業の広告が載っている。
東京電気化学工業のブランドはTDKで、同社初のメタルテープ、MA-Rの広告だった。

MA-Rの広告を初めて見たのは51号だったのか、
そのころはFM誌も他のオーディオ雑誌(月刊)も買っていたから、ステレオサウンドではなかったかもしれない。

とにかくMA-Rの広告に載っていた写真を見て、どきっ、としたことはいまでもはっきりと憶えている。

トランスルーセントに、亜鉛ダイキャストのハーフ。
それまで見慣れていたカセットテープの印象とはまったく違っていた。
クリアーだった。

メタルテープの登場は少し前からオーディオ雑誌でも話題になっていた。
カセットテープの枠をさらに拡げただけでなく、
おそらくメタルテープの登場がエルカセットにとどめをさしたともいえる。

TDKはメタルテープの発売にあたって、まずMA-Rを、それからMA(通常のプラスチック製ハーフ)を出した。
他のメーカーであれば、逆だっただろう。
まずMAを出して、その上位版としてMA-Rを華々しく登場させる。

だがTDKは違っていた。
だからこそMA-Rは、いまでもその登場が印象に残っている。
こんなカセットテープはTDKのADくらいである。

Date: 7月 23rd, 2019
Cate: きく

カセットテープとラジカセ、その音と聴き方(余談・その18)

ナガオカがカセットテープの新製品を発表したことは、
オーディオ関係のニュースサイト以外でも話題になっている。

ナガオカは以前もカセットテープを出していた。
ナガオカ・ブランドとジュエルトーン・ブランドの両方で出していた。

ナガオカ・ブランドではノーマルテープのみ二種類だった。
一つは+6という商品名で、66分、96分用があった。
もう一つはExcellenceで、こちは+6よりも少し高かった。

ジュエルトーン・ブランドではメタルテープまで用意されていた。
1980年ごろのことである。

このころは各社からカセットテープが出ていた。
カセットテープのメーカーといえば、ソニー、TDK、日立マクセルが強かった。
けれどカセットテープを出していたメーカーは、ずっと多い。

カセットデッキで参入したオーディオメーカーも、自社ブランドのカセットテープを出すようになっていた。
ナカミチ、ラックス、アイワ、ダイヤトーン、ケンウッド、テクニクス、ビクター、Lo-D、
パイオニア、サンヨー、オットー、シャープ、オーレックス、デンオン、クラリオン、
ヤマハ、東芝、マグナックス、富士フイルムなどの国産ブランドの他に、
アンペックス、スコッチ、フィリップス、BASF、トーレンスなどの海外ブランドがあった。

思いつくまま挙げてみたので漏れもあるだろうが、とにかくけっこう数のブランドのテープがあった。

ナガオカが、ナガオカとジュエルトーン、二つのブランドで出しているように、
東芝とオーレックス、サンヨーとオットーもそうである。
Lo-Dとマクセルも似たようなものか。

すべてのブランドのカセットテープが、自社生産だったわけではないはずだ。
それでも自社ブランドのカセットテープは、
そのメーカーのカセットデッキにとっては、一つの基準となるテープといえる。

TDKのMA-Rに憧れがあっても、それとは別に、
ナカミチのカセットデッキならばナカミチのカセットテープ、
ヤマハのカセットデッキにはヤマハのカセットテープ──、
そういう組合せは一度はきちんと聴いておきたいものでもある。

ヤマハのメタルテープをヤフオク!に出ていたけれど、
けっこうな高値になっていて、早々に諦めてしまった。

Date: 7月 22nd, 2019
Cate: きく

カセットテープとラジカセ、その音と聴き方(余談・その17)

7月3日のaudio wednesdayで、カセットテープ、カセットデッキをやる以前は、
カセットのことについて、これだけ書いていけるとは思っていなかった。

しかもまだミュージックテープの再生のことだけである。
カセットデッキとカセットテープは、録音できる器械とメディアだ。
録音については、いまのところ試していない。

録音にはカセットテープが必要になる。
ナガオカからノーマルテープの新製品が登場した。
一度は試してみたいと思うけれど、
やはり一度はメタルテープを試してみたい。

以前書いたように、私が以前使っていたカセットデッキはメタルテープに対応していなかった。
なのでメタルテープを自分自身で使ったことは一度もない。

メタルテープの音は、何度か聴いている。
でもTDKのMA-Rの音は聴いていない。

型番を忘れてしまったが、ソニーからもリファレンス的なメタルテープが登場していた。
こちらも聴いたことはない。

カセットデッキをヤフオク!で手に入れたように、
カセットテープもヤフオク!には、かなりの数出品されている。

未開封のテープも少なくなく、少々驚いている。
それにMA-Rの未開封品につく価格に、また驚く。

MA-Rは、46分テープが1,750円、60分用が2,000円、90分用が2,600円していた。
同じTDKのADの60分用が550円、SAの60分が750円だったのだから、
MA-Rは、というよりもメタルテープはどのメーカーも高価だった。

しかもいまはどこも製造していないのだから、高くなるのはわかる。
それでも高すぎないか、とちょっと思う。
なにせカセットデッキを一万円を切る価格で手に入れることができただけに、
メタルテープが高く感じてしまう。

Date: 1月 17th, 2017
Cate: the Reviewの入力

電子制御の夢(カセットデッキの場合)

the re:View (in the past)の更新を再開している。
といってもiMacは故障したままなのでテキストでの更新である。

昨日は井上先生のナカミチの1000ZXLの記事を入力していた。
ステレオサウンド 57号(1980年)の記事である。

このころからオーディオ機器の広告、記事に、マイコン搭載という文字が登場するようになった。
カセットデッキに最初に搭載されたマイコン(マイクロコンピューター)は、
4ビットだ、と聞いている。その後、6ビットのものを搭載した製品があらわれ、
1000ZXLになると、8ビット・マイコンが搭載されていて、
各部の調整が電子制御となっているのが特徴である。

この時代の8ビット・マイコンを、現在の家電に搭載されているCPUに置き換えたら……、
そんなことを入力しながら考えていた。

ナカミチという名前だけはまだ残っているようだが、
当時のナカミチという会社は、すでにない。
1000ZXLのようなカセットデッキを開発できるところは、いまではないだろう。
カセットテープに関しても、TDKのMA-Rレベルのものを製造できるところもないだろう。

だから単なる妄想にすぎないのだが、
いまも当時のナカミチに匹敵する会社があって、
そこが本気になって1000ZXLを超えるカセットデッキの開発を行ったら……。
そこに搭載するマイコン(いまではこんな表記は使わないけれど)は、
1000ZXLのそれとは比較にならないほど処理能力は高い。

いまなら、どこまでカセットテープの性能を引き出せるだろうか、と思うのだ。
あのころのナカミチの技術者が目指していながら実現できなかったところはあるはずだ。
いまの電子制御の技術があれば到達できるレベルがあったはずだ。

片方の技術が進歩すると、もう片方の技術の進歩は止ってしまうどころか、
退歩してしまうこともある。
ふたつの異る技術が融合することで素晴らしいモノがうまれるところにおいても、
そうであったりする。