TDK MA-Rというデザイン(その2)
カセットテープ、カセットデッキの最盛期は、メタルテープが登場し、
いくつかのメーカーからドルビー以外のノイズリダクションが搭載されるようになった1980年あたりだろう。
このころ各社からカセットテープが発売されていた。
1980年版のHI-FI STEREO GUIDEには、アイワ、アカイ、オーレックス、クラリオン、デンオン、ダイヤトーン、
フジフイルム、ジュエルトーン、Lo-D、ラックス、マクセル、ナガオカ、ナカミチ、オットー、サンヨー、シャープ、
ソニー、TDK、テクニクス、ビクター、アンペックス、BASF、フィリップス、スコッチのブランドが並んでいる。
いくつかのブランドはOEMであるが、これらのブランドが数種類のカセットテープを発売していたし、
カセットデッキを製造しているブランドもある。
そういったブランドは、当然だが、自社のカセットデッキの広告、カタログには、
同じブランドのカセットテープを使う。
カセットデッキの広告、カタログに掲載されている製品写真は、
多くがカセットテープがセットされているものである。
同ブランドのカセットテープがあるのに、
他社製のカセットテープをセットして広告に使うことは、それまでなかった。
TDKのMA-Rの広告がステレオサウンドに掲載されたのが51号、
九ヵ月後の54号のパイオニアとアイワの広告の写真には、MA-Rがセットされたカセットデッキがある。
パイオニアがCT-A1、アイワはAD-F55Mである。
パイオニアは1981年ごろから自社ブランドのカセットテープを発売し始めるから、
54号(1980年春)の時点では他社製のカセットテープを使うのもわかる。
けれどアイワはメタルテープの発売は1981年ごろからだから、
54号の広告時点では自社ブランドのメタルテープを持たなかったとはいえ、他社製のテープを使っている。
それもひと目でTDKのMA-Rとわかるカセットテープを使っている。