TDK MA-Rというデザイン(その3)
ステレオサウンド 54号でTDKのMA-Rをセットした広告を出したパイオニアは、
57号では自社ブランドのカセットテープを発売していたこともあって、MA-Rではなくなっている。
54号と57号でのCT-A1の広告で使われている写真はまたく同じアングルによるもので、
違いはCT-A1にセットされているカセットテープの違いだけ。
しかもCT-A1は、通常のカセットデッキとは違い、カセットテープをユーザーが直に装着するようになっている。
パイオニアがフルオープンローディング方式と呼ぶ、この機構にはだから開閉ボタンがない。
垂直にカセットテープを装着するデッキでは、カセットテープの収納ケースの同じようになっている。
開閉ボタン押せば、フタが開く。下部を支点にして上部が開くから斜めにカセットテープを挿入する。
そしてこのフタを閉じればいい。
このフタがあることで通常のカセットデッキでは、
装着しているカセットテープの全面が見えるわけではない。
多少なりともカセットテープの一部が隠れてしまう。
CT-A1では、そんなフタが存在しないから、カセットテープを視覚的に隠すものは存在しない。
こういうカセットデッキはCT-A1と同じパイオニアのCT710、CT910、ダイヤトーンのM-T01ぐらいか。
そういうカセットデッキであるCT-A1だから、ステレオサウンド 54号と57号の広告の写真を比較すると、
カセットテープのデザインの重要性をはっきりと見る者に意識させる。