スペンドールのBCII、ラックスのLX38、ピカリングのXUV/4500Q、
この組合せは、私にとって、いまでも特別なものである。
熊本のオーディオ店のイベントに定期的に来られていた瀬川先生。
ある時、イベントが終了して、まだすこし時間に余裕があったので、
瀬川先生が「今日ここにあるオーディオ機器で、聴いてみたい組合せや機種はありますか」
と言われたので、真っ先に手を上げてお願いしたのが、上記の組合せである。
このとき、スピーカーは他にJBLの4341があったし、
アンプもマークレビンソンのLNP2やSAEの2500、
カートリッジもピカリングの他に10機種ほど用意されていた。
BCIIは、別のイベントの時に聴いたことがあった。
XUV/4500Qは、その日のイベントで聴いたばかり。
LX38の音は、(たしか)耳にしたことはなかった。
十分にその素性を掴んでいるモノはひとつもなかった。
けれども、これら3つの組合せが、パッと頭にひらめいた。
もっと高価な組合せもお願いできたけれども、
どうしても聴きたかったのは、この組合せで、
BCIIの音に惹かれていただけに、もっともっといい音でBCIIを聴きたい、と思って、である。
「BCIIにラックスのLX38で、カートリッジはXUV/4500Qでお願いします」と言ったところ、
瀬川先生が「これはひじょうにおもしろい組合せだ。ぼくも聴いてみたい組合せ」と言われ、
わくわくされている感じを受けた。
そして鳴ってきた音は、いまでも憶えている。
一曲鳴らし終わった後に、「いやー、これはほんとうにいい音だ。玄人の組合せだ!!」と言われ、
ちょうど最前列の真ん中の席が空いていたので、そこに座られ、
瀬川先生のお好きなレコードを、もう1枚かけられて、
そのときの楽しそうに聴かれていた表情と、「玄人の組合せ」という褒め言葉が、
二重にうれしかった。
なにせ当時高校2年生(16歳)だった私は、
特に「玄人」という言葉が、うれしくてうれしくて、
ひそかに「才能あるんだな、オレ」と自惚れていた。
「BCIIとLX38ですこし甘くなりがちになるところを、XUV/4500Qでピリッとさせる。
見事な組合せだ。BCIIとLX38がこんなに合うとは思わなかった」とも言われた。
その約半年後に、ステレオサウンドの別冊として出たコンポーネントの組合せの本に、
カートリッジは異っていたけど、菅野先生も、BCIIとLX38を組み合わされている。
スペンドール、ラックス、ピカリングは、
私にとって、いわゆる黄金の組合せ、もしくは三位一体の組合せ、である。