D130とアンプのこと(その35)
ローインピーダンスのMM型カートリッジには、正直懐疑的だった。
いったいどういうメリットがあるというのだろうか、と考えた。
MC型カートリッジならばコイルも振動系に含まれる。
だからコイルの巻数を減らすことは、わずかとはいえコイル部の質量を小さくすることにモなり、
振動系の実効質量にも関係してくるけれど、
MM型カートリッジではコイル部は振動系には含まれない。
Moving Magnetなのだから振動系に含まれるのはマグネットであり、
コイルの巻数を減らしたところで、カートリッジの自重は多少軽くなることはあっても、
振動系の実効質量には関係してこない。
それにどれだけ強力なマグネットを採用したところで、
推奨インピーダンスが100Ωということはカートリッジのインピーダンスは実際には100Ωよりも低いわけで、
従来の1/2とか1/4といったインピーダンスの低下ではないほど大幅にローインピーダンス化してしまえば、
出力電圧は、インピーダンスとともに低下する。
ピカリングのXLZ7500Sの出力電圧は、たしか0.3mVだった。
この値はMC型カートリッジ並でしかない。
そうなると使用にはなんらかの昇圧手段が必要となる。
ピカリングもスタントンもトランスではなくヘッドアンプを推奨していた。
もしくはハイゲインのイコライザーアンプが必要となる。
いったい、こういうカートリッジにどういうメリットがあるのだろうか、と思った。
音は聴かなければなんともいえないものの、技術的なメリットをすぐには見出せなかった。