手がかり(その3)
中学生の時、自分の意思で聴きに行きたいと思い、
小遣いをためてはじめてチケットを買って行ったのも、グラシェラ・スサーナのコンサートだった。
それからグラシェラ・スサーナがテレビに出るのを見逃さないように、
新聞のテレビ欄で音楽番組は必ずチェックしていたし、
2時間ドラマの主題歌をグラシェラ・スサーナが歌ったときも、聴き逃していない。
そういえば瀬川先生が熊本のオーディオ販売店に定期的に来られてとき、
一度グラシェラ・スサーナの「アドロ・サバの女王」のレコードを試聴用として持参されたことがあった。
たしかアンプの聴きくらべの時だったはず。
スサーナのレコードをかけられる前に、こういうところが変化しやすい、という話をされた。
こんなふうにグラシェラ・スサーナを、10代のとき聴いていた。
そしていつしかグラシェラ・スサーナの歌(声)が、
私のなかでオーディオ機器の音を判別するうえでの「手がかり」となっていることに気がついた。
そして、これが最初の手がかりでもある。