Date: 11月 24th, 2012
Cate: D44000 Paragon, JBL, 瀬川冬樹
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瀬川冬樹氏とスピーカーのこと(その5)

スピーカーのことについて書いていくのが、パワーアンプのことについて書いている。
もう少しパワーアンプのことにつきあっていただきたい。

パワーアンプの理想とはどういうことなのか。
いかなるスピーカーシステムであろうと鳴らしきることのできるパワーアンプを優秀なパワーアンプということで、
この項を書いてきている。
けれど、その優秀なパワーアンプでは鳴らせない音を、
300Bのシングルアンプのように、優秀なアンプの定義にはおさまらないアンプが聴かせることが、
オーディオには往々にしてある。

300Bのシングルアンプといっても、市販品に推められるアンプがあるからといえば、
そうとうに妥協しても、ない、といわざるをえない。
シングルアンプが無理なら、300Bのプッシュプルアンプでは──、
やはり、ない。
海外のメーカーからも300Bのプッシュプルアンプは出ているけれど、
あのアンプの写真を見たとき、なんというデザインなんだろう……、とひどくがっかりしたものだ。
仕上げはたしかに丁寧であっても、はっきりいってひどいデザインといえる。

でもオーディオ雑誌を読むと、デザインのことで褒めている人が何人かいる。
なんなのだろうか……、と思う。
これがブランド・イメージなのか、とも思う。

音に関しては、特になにもいわないけれど、あのデザインに関してだけは、あれこれいいたくなる。
いいたいことがありすぎる。
書き始めると、それだけでけっこうな文量になってしまうし、
書く方も読まれる方も気持のいいものではないから、具体的にはあれこれ書きはしないものの、
あのアンプのデザインを褒める人の音質評価は、私はもう信じないことにしている。

オーディオ雑誌で書いている人たちは、書きにくいことがあるのは読む方だって承知している。
だからデザインについて悪く書くことができなければ、
デザインについては触れなければいいわけで、それをあえて触れて褒めているということは、
その人は、あのアンプのデザインがいいと思っていることになる。
読者はそう受けとめるだろう。私はそう受けとめた。

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