オリジナルとは(続×十二・チャートウェルのLS3/5A)
マランツのModel 7について語られるとき、しばしば同じ時代の、
マランツとともにアメリカを代表するアンプメーカーであるマッキントッシュのC22が引合いに出される。
Model 7とC22、どちらも真空管時代の、もっとも著名なコントロールアンプであり、
オーディオ的音色の点から語るならば、対極にあるコントロールアンプともいえる。
C22の音について語られるとき、
その多くが、C22のもつ、いわゆるマッキントッシュ・トーンともいえる音色について、である。
その音色こそが、オーディオ的音色であって、
それこそがC22の魅力にもなっているし、C22の魅力を語ることにもなる。
Model 7は、というと、昔からいわれているように、
C22のようなオーディオ的音色の魅力は、ほとんどない、ともいえる。
だからModel 7の音は中葉とも表現されてきたし、
Model 7の音を表現するのは難しい、ともいわれてきている。
それはC22のようなオーディオ的音色が、そうとうに稀薄だから、である。
もちろんModel 7にも固有の音色がまったくないわけではない。
ただ、それはひじょうに言葉にしにくい性質ということもある。
Model 7は、そういうコントロールアンプである。
だから、私はModel 7に関しては、
Black BeautyではなくTRW(現ASC)のコンデンサーに交換したい、と思うわけだ。
それではC22だったら、どうするか、というと、正直迷う。
C22にもBlack Beautyが使われている。
当然、それらBlack Beautyはダメになっているわけだから交換が必要になる。
Model 7と同じようにASCのコンデンサーにするのか、となると、
良質のBlack Beautyが手に入るのならば、それにするかもしれない……。
購入する予定もないのに、そんなことを考える。
Model 7にはASCのコンデンサー、C22にはBlack Beautyとするのは、
何をModel 7のオリジナルとして捉えているのか、何をC22のオリジナルとして捉えているのか、
そこに私のなかでは違いがはっきりとあるからだ。