Date: 10月 25th, 2012
Cate: オリジナル
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オリジナルとは(続×九・チャートウェルのLS3/5A)

ここからは、例を変えてみよう。
マランツのModel 7にしてみる。

Model 7は、いまも名器として取り扱われている。
Model 7を、いまも欲しいと思っている人は少なからずいる、と思う。
私だって、欲しいという気持は持っている。
持っているけれど、Model 7のシリアルナンバーをチェックして、
初期のModel 7でなければ絶対に認めない、という欲しさではない。

Model 7にこだわっている人にいわせると、
あれはModel 7じゃない、といわれている日本マランツが復刻したModel 7の方が、
オリジナルと呼ばれているけれど、もう中身はボロボロで自分で手直しをしなければならないModel 7よりも、
私は、ずっといいと思っている。

もちろん初期のModel 7の、非常に程度のいいモノが、良心的な価格であるのならば、
こんな私でも、それを選ぶけれど、実際にはそうじゃない。

こんなModel 7が存在していたら、かなりの値がついている。
かなりの値がついていても、中身がしっかりしていれば、それは良心的ともいえるのだが、
外観だけはしっかりしていても中身は……というModel 7にも、かなりの値がついて出廻っているのが現状だ。

そういうModel 7よりは、1990年代のおわりに復刻されたModel 7の出来は非常に良いから、
私は製造国には、それほどこだわらなくなる。

それにModel 7のオリジナルとは、いったいどういうものか、とも考える。
アメリカでつくられたModel 7にしても、
ソウル・B・マランツが自らの手でつくっていたわけではない。

すでにアメリカでは著名なオーディオメーカーとして知られていたマランツだから、
工場をもち、そこで働く多くの人達の手によってつくられていたわけだ。
マランツのModel 7も、工業製品である。

工業製品とは、プロトタイプの精密な大量のコピーなのだから。

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