Date: 2月 26th, 2012
Cate: 川崎和男
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一度だけの……

オーディオのことで、たった一度だけ神頼みしたことがある。

「音は人なり」だから、神頼みしたところでどうにかなるものではないことは重々承知している。
けれど、あのときだけは「どうか、いい音で鳴ってください」と心の中でお願いしていた。
音が鳴りはじめるまで、何度も何度もそう神頼みしていた。

かけてもらったCDの前奏が流れてきた。
それまでの2曲とは、鳴り方が違う、と感じていた。
私だけが感じていたのか、そのとき、あの場所にいた人たちみながそう感じていたのかは確認していない。
とにかく安堵した。これならば、絶対に絶対にうまく鳴ってくれる、そう確信できた。

カレーラスの歌がきこえてきた。
「川の流れのように」をホセ・カレーラスがうたう。
このCDから、この曲を選んでよかった、と、やっと思えた。

後にも先にも、神頼みしたことは、この一回きりである。
これから先のことはわからない。
けれど、このとき、神はいるのかも……と想っていた。

いまから10年前の7月4日のこと。

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